株式会社ラックは6月17日、同社のセキュリティ監視センター「JSOC」によるセキュリティレポート「JSOC INSIGHT vol.12」を公開した。本レポートは、JSOCのセキュリティアナリストによる日々の分析結果に基づき、日本におけるセキュリティインシデントの発生傾向を分析したもの。JSOCの顧客環境で実際に発生したインシデントのデータに基づいているため、世界的なトレンドだけでなく日本のユーザが直面している脅威を把握できる内容となっている。本レポートでは2016年1月から3月を対象としているほか、2015年4月から2016年3月までの年度データについても解説している。同期間に発生した重要インシデント件数は、インターネットからの攻撃によるものが274件(前四半期は156件)、内部から発生したものが654件(同424件)であった。前者の増加は1月中旬から2月初旬にかけてSQLインジェクションによるコマンド実行の試みが増えたこと、後者の増加は2月中旬に特定の顧客環境でマルウェア感染が急増したためであったという。検知したマルウェアは、金銭や情報を狙ったCitadel、Bedep、ET Trojan が大多数を占めたとしている。またレポートでは、注目のトピックとして「相次ぐネットワークセキュリティ機器の脆弱性の公開」「Bedep の感染事例急増」を取り上げ、被害状況や対策方法を紹介している。年度データでは、2015年度の重要インシデントの発生件数は、インターネットからの攻撃による重要インシデントおよびネットワーク内部から発生した重要インシデントともに過去2年の検知件数と比較して増加した。特に2016年2月は、特定の顧客環境から発生した不審な通信を多数検知している。