独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)および一般社団法人 JPCERT コーディネーションセンター(JPCERT/CC)は7月31日、複数のBIOS実装において、スリープモードからの復帰後に書き込み保護が適切に設定されない問題が存在すると「Japan Vulnerability Notes(JVN)」で発表した。この問題は、インテル x86 ベースのコンピュータのチップセットに搭載されている、BIOSが任意に書き換えられることを防ぐ仕組みのひとつ、BIOS_CNTLレジスタのBIOSLEビットとBIOSWEビットに存在する。これらの初期値は、保護は無効化になっており、システムがリセットされるとBIOS_CNTLレジスタも初期化される。通常の起動時にはBIOSが再設定を行うが、スリープからの復帰時には適切に再設定されない事例が、特定のDELL製クライアントシステム確認されている(CVE-2015-2890)。またAppleのシステムにおいても類似の問題(CVE-2015-3692)が確認されている。この問題が悪用されると、当該システムに物理アクセス可能で root 権限を持つ攻撃者によって、システムのBIOSを任意のイメージに書き換えられる可能性がある。DELL製品とApple製品では問題を修正するアップデートが公開されているが、CERT/CCでは他の製品においても調査中であるとしている。