Microsoft Word の RTF listoverridecount コントロールワードの処理に起因するメモリ領域破壊の脆弱性(Scan Tech Report)
Microsoft Word には、RTF ファイルの取り扱いに起因してメモリ領域が破壊される脆弱性が存在します。
脆弱性と脅威
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1.概要 Microsoft Word には、RTF ファイルの取り扱いに起因してメモリ領域が破壊される脆弱性が存在します。 ユーザが悪質な RTF ファイルを閲覧した場合に、リモートの第三者によってシステム上で不正な操作が実行される可能性があります。 Microsoft Word 2010 を標的とした攻撃が確認されており、攻撃を受ける可能性が高いことが考えられるため、パッチ未適用の Office ソフトウェアを利用するユーザは可能な限り以下の対策を実施することを推奨します。
3.影響を受けるソフトウェア Microsoft Word 2003 SP3 Microsoft Word 2007 SP3 Microsoft Word 2010 SP2 Microsoft Word 2013 NoSP/SP1 Microsoft Office for Mac 2011
※1 Microsoft Word Viewer、Microsoft Office Web Apps、Microsoft Office互換機能パックなどのソフトウェアもこの脆弱性の影響を受けることが報告されています。
4.解説 Rich Text Format (RTF)※2 では、テキストのフォント、色、行端揃えなどの情報をコントロールワードと呼ばれる制御文で定義しています。その中の 1 つである listoverridecount コントロールワードは、オーバーライドする階層の深さ (一般的には 0, 1 または 9 のいずれかの値) を定義し lfolevelコントロールワードで、オーバーライドする振る舞いを定義します。
Microsoft Word の wwlib.dll には、RTF ファイルを処理する際のlistoverridecount コントロールワードに対する境界チェックに不備があります。 このため、当該コントロールワードに 25 (listoverridecount25) などの不適切な値および大量の lfolevel コントロールワードが含まれる不正な RTFファイルを処理した場合、無効なインデックスが指定された配列オブジェクトにアクセスしてしまい、結果として、領域外の意図しないメモリ領域を参照してしまう脆弱性が存在します。
この脆弱性を利用することで、リモートの攻撃者は、Microsoft Word を実行するユーザの権限で任意のコード実行が可能となります。
なお、Microsoft Outlook 2007/2010/2013 では、Microsoft Word がデフォルトの電子メールビューアとなっています。このため、不正な RTF 形式の電子メールを Microsoft Outlook でプレビュー表示するだけで、この脆弱性が悪用される可能性があります。
5.対策 以下の Web サイトを参考に、それぞれの Microsoft Word バージョンに対応するパッチ (MS14-017) を入手し適用することで、この脆弱性を解消することが可能です。 ※Windows Update/Microsoft Update を行うことでも同様に脆弱性を解消することが可能です。