独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は1月31日、「IPAテクニカルウォッチ:社会インフラとしてのクラウドに求められる信頼性とサービス継続のための条件について~クラウドの停止リスクの回避及びデータセンター間の移転等の課題に関する整理と提起~」を公開した。クラウドは目に見えないところで経済社会を支えている。しかし、クラウド自体の停止や故障のリスクついては、実際にトラブル事例が複数報告されているにもかかわらず、その対応への認識は広がっていないように見受けられるとしており、クラウド停止のリスクとその回避のための方策に関する検討を行い、技術レポートとしてまとめた。今回のレポートでは、調査結果を参照しながら最近の技術標準化などの動向も含め、次のの事項などについて整理・提起している。「クラウドの停止リスクの回避に向けて、クラウド事業者が責務を果すことに加え、通信事業者やライフライン事業者の取り組みも重要であり、ユーザもBC/DRの強化が必要であること」「クラウドの基盤が停止したときにクラウドの機能やサービスを維持するために相互運用性や移植可能性が必要であり、その実現のための技術標準化が重要なこと」「クラウドの基盤を緊急時等に他のデータセンターに移転する仕組みについて、日本の標準化推進団体GICTFが提唱し、DMTFとの共同声明発表など国際連携が具体化してきたこと」「データセンター間のクラウドの移転には、クラウド事業者等関係者による技術的課題への取り組みだけでなく、セキュリティ面や契約、法制度面の整備等といった社会的な取り組みの拡大も必要であること」。