契約書など商取引上の書類や、国税関連の書類などさまざまな文書について、電子化をする際の法律が整備され、その市場が広がっている。電子文書の真正性を担保するためには、電子署名が不可欠だ。一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)は2012年10月5日の東京新宿を皮切りに、2ヶ月に渡り全国5箇所で「電子署名・認証業務普及セミナー 広がる電子署名の活用分野(http://www.jipdec.or.jp/dupc/event/shomei/)」と銘打ったセミナーを開催している。ここで事例紹介やデモとして、電子署名の活用方法が数多く紹介された。本稿はその模様をレポートする。●多様な活用事例国の認定事業者が発行する電子証明書を用いると、政府認証基盤(GPKI)の上で、行政機関に対する各種手続きをオンラインで実施できる。有限会社ビジネス・サポートエム 代表取締役 御田村瑞恵氏からは、社会保険関係の手続き、不動産・商業・法人の登記申請、国税・地方税の申告・納税、電子入札など幅広い行政手続きが、実際の画面を交えて紹介された。セコムトラストシステムズ株式会社の西山晃氏からは、企業における導入事例が挙げられた。たとえば、ある保険会社では、FAXで送付される申込書を紙に出力せず、電子データを用いて与信や保険証書発行などの業務を行う。申込書や保険証書の電子データに電子署名とタイムスタンプを付与することで、電子保存の法的要件を満たす。申込書の回収、保険証書の郵送、用紙の管理にかかる費用を削減でき、また業務も効率的になった。電子印鑑のデモを行っていたのは、シヤチハタ株式会社だ。画面に表示した契約書の署名欄に電子印鑑にて印影の画像を挿入、さらに電子署名とタイムスタンプを付与するものだ。電子契約書の利点として、印紙が不要になること、保存性・検索性の向上が挙げられる。その他、複数の講演者から、電子署名に使われる暗号アルゴリズムの移行についての説明や、長期保存する場合に不可欠な長期署名の話がなされた…※本記事は有料版に全文を掲載します