組織犯罪によるマネーロンダリングや金融詐欺防止、証券コンプライアンス遵守のジャンルで世界シェアの4割を持つ、米国のNICE社に、どのように不正の検知および予知が行われるか、同社シャロム サギ氏(以下敬称略)にソリューションの仕組みを聞いた。 ――サービスの概要とこれまでの経緯は金融機関向けソリューションである NICE Actimize は1998年にイスラエルのベンチャー企業が提供開始した。初期は複数のルールを組み合わせて異常の検知などを行うルールエンジンだったが、数年後にニューヨークに本拠地を移してから、主にウォール街の顧客を対象に金融犯罪検知にサービスを特化させることになる。9.11テロ後はテロリストの資金移動の検知なども行うようになった。現在は単なる検知ではなく、今後発生する金融犯罪の予知を行うソリューションとして世界各国で利用されている。――日本では、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJ、ゆうちょ、大和キャピタルなどが顧客と聞いているが、海外の主要顧客はどうかアメリカではトップ10の銀行金融機関全てが顧客だ。EU圏ではトップ10のうち9つが利用している。このカテゴリで国際シェアの4割を持つ。――サービスの内訳は大きく分けて「マネーロンダリング対策」「金融詐欺の対策」「証券コンプライアンス遵守」の3ジャンルに分かれている。証券コンプライアンス遵守のサービスは、スーパーコンピュータを用いる「アルゴリズム取引」にも対応している。――金融犯罪を例にした場合、具体的にどのように検知や予知を行うのかたとえば6月1日に100万円を中国に送金するという取引があったとする。「金額が100万円以上」「海外への送金」という条件がもし設定されていれば、異常事態としてアラートが上がる、これが一時代前の単なるルールエンジンによる検知だ。我々が提供しているのは、犯罪や詐欺のシナリオ分析に基づいて不正の予兆が発生した時点でアラートを上げて、犯罪が実行されるまえに未然に予防することができるサービスだ…※本記事は有料版に全文を掲載します(取材協力:ナイスジャパン株式会社)