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2017.11.20(月)

クライムネットと e-Punishment ネット(1)クラウド化する暴徒

特集 コラム

英ロンドンで8月6日発生した暴動は、私がこの原稿を書いている11日現在、まだ終息に向かっていない。暴動は、各地に飛び火し、参加者は増え、圧倒的に警察は不利な状況におかれているように見える。人数の違いは致命的だ。警察で解決できなければ、次は軍隊しかないということで軍隊の投入も検討されているようだが、果たしてどういう結末になるのか大変気になる。

まず状況を整理してみよう。

暴動はイギリス各地で発生しており、数十カ所に及んでいる。英ガーディアン誌のインタラクティブマップがわかりやすい。

UK riots: every verified incident - interactive map(guardian.co.uk)
http://www.guardian.co.uk/news/datablog/interactive/2011/aug/09/uk-riots-incident-map

暴動参加者の総数は不明だが、少なくとも警察官の人数をはるかに上回っているのは間違いないだろう。動員された警察官の人数は2万人程度、ちなみにイギリス国内の警察官の総数は10万人前後と推定される。

暴動参加者の多くはティーンエイジャーで、起訴された中でもっとも若いのは11歳の少年だ。ただし、BBCによる起訴された56人の統計では、わずかに20~24歳が多くなっている。

England riots: Who are the rioters?(BBC)
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-14489984

MOTHER DRAGS RIOTING SON, 11 INTO COURT (Express.co.uk)
http://www.express.co.uk/posts/view/264282

暴徒達は互いに、BlackBerry のBBMを利用して連絡をとりあっている。「BlackBerry 暴動」という呼称もあるが、「Facebook 革命」に比べて、えらく扱いが悪い。当たり前だが。BBMはセキュアなテキストメッセージングサービスで一斉同報など各種の便利な機能がある。これを利用して暴動の扇動や警察の動きに関する情報を共有していると言われている。まさにクライムネットと言える。

BlackBerry販売元RIM社は事態収拾への協力を申し出ており、BBMを止めるという噂もあったが、止めるには至っていないようである。

現在、1,600人以上が逮捕されており、今後増える見込みだが、収容できる施設があるのかははなはだ不安な状況だ。2,500人の収容場所を確保しているという発表があったが、おそらく足りず、収容しきれないだろう。

警察は画像共有サイトに暴徒の写真を掲載し、情報を募っている。一方、市民も自発的に暴徒の画像を共有する活動を開始している。「London Riots Facial Recognition」がそれだ。各種 SNS に投稿された写真から本人を捜し出すことができる。

「正義」とクラウドソーシング:ロンドンの暴徒特定に顔認識技術を使おうというGoogleグループが登場(TechCrunch Japan)
http://jp.techcrunch.com/archives/20110809google-group-members-to-use-facial-recognition-to-identify-london-rioter/

一方で、市民のボランティアによるクリーンナップ作戦も始まっている。暴徒にめちゃくちゃにされた街を自分たちの力できれいにしようという呼びかけがツイッター上でなされ、8万人以上がフォローしている。すでにリアルに路上清掃も始まっている。

私はこの暴動がとても気になって仕方がない。

なにしろこれは他人事ではない。というのも、この暴動のミニチュア版を私は、今年6月にバンクーバーで体験しているからだ(「ソーシャル監視ネットの誕生、ネットは千の目を持つ」参照)。誰ですか? バンクーバーは人が少ないからとか言ってるのは!? そして、バンクーバー暴動で起きたのとほぼ同じことが、ロンドンの暴動でも起こっている。違いは規模と、ロンドンでは BlackBerry が利用され、バンクーバーでは iPhone が主に使われたことくらいだろう。

ソーシャル監視ネットの誕生、ネットは千の目を持つ(ScanNetSecurity)
http://scan.netsecurity.ne.jp/archives/51989519.html

余談だが、バンクーバー暴動の犯人たちは起訴されておらず、ロンドン暴動の余波で、起訴して処罰すべき、という世論が高まっている。暴徒に厳然とした態度をとらないとロンドンの二の舞になりかねないということらしい。

(一田和樹)

筆者略歴:作家、カナダ在住

一田和樹著/原書房刊「檻の中の少女」
http://www.amazon.co.jp/gp/product/456204697X/
《ScanNetSecurity》

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