海外における個人情報流出事件とその対応「規制強化後も漏えいに苦慮するヘルスケア業界(2)後を絶たない医療機関からの漏えい」 | ScanNetSecurity
2024.04.20(土)

海外における個人情報流出事件とその対応「規制強化後も漏えいに苦慮するヘルスケア業界(2)後を絶たない医療機関からの漏えい」

●後を絶たない医療機関からの漏えい

国際 海外情報
●後を絶たない医療機関からの漏えい

米国では医療機関での個人情報取扱は、2003年に成立したHIPAA(The Health Insurance Portability and Accountability Act )法で情報の機密性の確保や、脅威への対策、情報開示に対する保護などを定め、厳しく取り締まっている。しかし、漏えい事件は後を絶たない。Holy Cross Hospitalの事件が発覚した11月だけでも、米国では医療関連機関の漏えい事件が多数報じられている。

-11月19日 ミズーリ州の歯科医が患者情報の入ったノートパソコンを盗まれる。

-11月15日 オクラホマ州のOklahoma Veterans Affairs Medical Centerの職員が患者の情報の入った検査所の日誌の数ページが足りないのに気づく。センターでは誤ってシュレッダー処理をしたのではないかと考えだ。

-11月15日 ミシガンのHenry Ford Health Systemで従業員のノートパソコンが9月24日に盗難に遭っていたことが明らかにされた。1997年から2008年に前立腺治療を受けた患者の情報が入っていた。

-11月14日カリフォルニアのNorthridge Hospital Medical Centerで2004年9月から2006年6月までセンターを利用した患者の情報が漏えいした可能性があると明らかに。宅配業者を通じて送付していたパッケージの破損が原因で、患者の氏名や住所、電話番号、社会保険番号、生年月日、金融機関や保険の情報、退院時の記録などが含まれていた。

-11月14日コネチカットの保険会社Aetnaが、9月に起こった漏えいで、保険加入者2345人の個人情報が流失していたことを明らかにしている。原因は権限なしのデータアクセス、もしくは誤って公開してしまっていたかのいずれかだ。

-11月14日 テキサスで8月5日に、歯科医が患者の情報の入ったノートパソコンを盗難されていたと発表。

-11月12日、コネチカットのVisiting Nurse Association of Southeastern Connecticutでノートパソコン盗難。看護師が使用していたパソコンには、患者の住所や氏名、医療情報が保存されていた。

-11月8日、ニュースのレポーターがArista OB-GYN Clinicの外で、患者の医療情報のある数百部の書類が破棄されていたのを発見。警察がその後、金属性の大きなゴミ箱を押収して捜査を行った。医師は起訴されている。(www.privacyrights.orgより)

●ヘルスケア業界では情報漏えいで年間100万ドルの被害

2010年11月Ponemon Instituteが患者のプライバシーとデータセキュリティに関するベンチマーク調査の結果、『Benchmark Study on Patient Privacy and Data Security』を発表している。発表に際して、Ponemonの創立者Dr Larry Ponemonがブログで

・データ漏えいのために、ヘルスケア産業は年間60億ドルの支出を行っている

・データ漏えいのために、ヘルスケアの組織は年間、平均で100万ドルの支出がある

・ほとんどの漏えいは、スタッフ不足や準備(方針や手続き)によるものだ

・HITECH ACTは、業界のデータ保護へのアプローチに大きな変化を与えてはいない

とまとめている。

ベンチマーク調査は67のヘルスケア業界の組織の幹部に調査を行ったものだ。Ponemon博士は、最近のヘルスケア業界でのデータ流出事件を見ると、アクセス管理、暗号化を

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(バンクーバー新報 西川桂子)
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