重要インフラへの DDoS 攻撃が相次ぎ、年始から混乱が生じました。今年は万博などの大規模イベントを控えており、サイバー領域に関する議論が絶えない状況が続くことが予想されます。諸外国による影響工作や、報道番組等での IT やセキュリティ業界では「未認知」の評論家やジャーナリストの発言に振り回されることなく、冷静かつ着実に対処していきましょう。
12 月 26 日、日本航空、三菱UFJ銀行、みずほ銀行をはじめとする複数の「重要インフラ」企業が大規模な DDoS 攻撃を受け、一時的なシステム障害が発生したことが報じられました。この出来事に接し、筆者はまず 2013 年に北朝鮮が韓国に対して行った大規模なサイバー攻撃事案を想起しました。
オープンソースの EDR 回避ツール「EDRSilencer」が攻撃に利用されていることが報告されています。この種のツールの多くは、レッドチームに携わるセキュリティ研究者が開発しており、EDRSilencer もセキュリティ愛好家の Chiris Au 氏が開発したものです。
オープンソースの EDR 回避ツール「EDRSilencer」が攻撃に利用されていることが報告されています。この種のツールの多くは、レッドチームに携わるセキュリティ研究者が開発しており、EDRSilencer もセキュリティ愛好家の Chiris Au 氏が開発したものです。
注目のインシデントとして、英国のロンドンの公共交通機関(Transport for London, TfL)に対するサイバー攻撃事件について報じられています。
脅威分析の報告として、デンマーク陸軍合同通信大隊とデンマーク王立国防大学の研究者が、オックスフォード大学出版局の Journal of Cybersecurity に、戦争におけるサイバー作戦の有効性が非常に限定的であると主張する論文を寄稿しています。
大規模インシデントして、ウクライナの CyberResistance によるインドのロシア製ミサイル防衛システムの情報リーク「BaumankaLeaks」が話題です。
注目の脆弱性に関してですが、Broadcom社 Symantec が、Black Bastaランサムウェアを運営する Cardinalサイバー犯罪グループ(Storm-1811、UNC4393)が、Windowsエラーレポートサービスの脆弱性(CVE-2024-26169)を 0-day として悪用していた可能性を報告しています。
注目のインシデント情報ですが、産経新聞が、太陽光発電施設の遠隔監視機器約 800 台がサイバー攻撃を受け、その一部がインターネットバンキングによる預金の不正送金に悪用されたことを報じました。この報道に対しての海外の反応は興味深く、想像力豊かなリスクシナリオ策定はぜひ見習いたいところです。
Microsoft Threat Analysis Center は、中国および北朝鮮の脅威アクターによる人工知能(AI)を活用した直近のサイバー活動を報告しています。いずれ中国や北朝鮮の脅威アクターは、中国製 AI を活用することでのサイバー活動にシフトし、「AI + セキュリティ」の活動は一般的になるとみられます。
興味深い研究発表として、イスラエル工科大学やコーネル工科大学などの研究者は、OpenAI の ChatGPT や Google の Gemini など、生成 AI を活用する AI アプリケーションを標的としたゼロクリックワーム「Morris II」を開発し、ユーザーの個人情報の窃取に成功したことを発表しました。
2 月は中国のセキュリティ企業である安洵信息技術有限公司(I-SOON)の社内情報が流出し、世間を賑わせました。同社は、中国の公安部、国家安全部、人民解放軍とも取引があり、APT への関与が指摘されています。
中東のレバノン共和国の首都であるベイルートのラフィク・ハリーリ国際空港のフライト情報表示システム(FIDS)がハッキングされたことが報じられました。空港の出発・到着スクリーンには、ヒズボラとその責任者であるハッサン・ナスララ師に向けた文字列が表示されたといいます。
ハマスとイスラエルの武力衝突に関連しても、興味深いニュースが報じられています。これは、親イスラエルのハッカーがイラン全土の約 7 割のガソリンスタンドの支払管理システムを停止したというものです。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が今年夏頃に、サイバー攻撃を受け、Active Directory(AD)への侵害を通じて宇宙開発に関する機微情報が漏洩した可能性があることが報じられました。米中をはじめ、日本においても宇宙事業は国家安全保障戦略に含まれていることを勘案しますと、組織としてもう少し考えて行動すべきだったように思います。
希望者全員に、25 周年記念製作コーヒードリップバッグと ScanNetSecurity ロゴステッカーの記念ノベルティセットと、2021 年度に日本国内で発生した代表的情報漏えい事故を総覧できる「日本情報漏えい年鑑2023」をあわせて希望者全員に特典として提供します。
韓国警察庁は、韓国のデータ復旧会社の 5 人が、北朝鮮の Lazarus グループと共謀してランサムウェアを流布し、被害者 778 人から復旧費用として 34 億ウォン(約 3.7 億円)を奪ったとして拘束したことを発表しました。ランサムギャングと交渉し、高額費用を被害企業にふっかけるといった業者がいることはたびたび噂になっていましたが、本件は当初より共謀していており、興味深い事案といえます。
Volexity 社が EvilBamboo として追跡する脅威アクターが、モバイルデバイスを標的としたマルウェアを悪用し、中国が国内の脅威とする「五毒」を標的としている可能性を指摘しています。
今月は、社会情勢に紐付いた攻撃が多く見られました。これは、米韓や米台の軍事演習のタイミングにおいても観測されており、その標的には日本も含まれているとみられます。
米国のシンクタンクである民主主義防衛財団が、米国がパートナー国のサイバー防衛能力を強化するための取り組みについて提言をしたレポート「サイバー・オペレーションのためのパートナー能力の構築」を発表しました
脆弱性に関してですが、米 Apple 社は iPhone、iPad へも影響のある複数のゼロデイ脆弱性を公開しています。これらの脆弱性は、Triangulation マルウェアにより悪用されていることが Kaspersky 社により報告されています。