今日もどこかで情報漏えい 第51回「2026年7月の情報漏えい」三重県、陸自インシデントを他山の石として USB メモリ 1 万個チェック | ScanNetSecurity
2026.08.07(金)

今日もどこかで情報漏えい 第51回「2026年7月の情報漏えい」三重県、陸自インシデントを他山の石として USB メモリ 1 万個チェック

7 月に最も件数換算の被害規模が大きかったのは、KDDI株式会社による「KDDI の ISP 事業者向けメールシステムに不正アクセス、ゼロデイ脆弱性を悪用」であった。先月のKDDIの続報で、本来なら除外するのだが件数が最大 1,422 万件から、12,233,087 名に下方修正されたので、記録のために入れておいた。

特集
(イメージ画像)

 今日もどこかで情報漏えいは起きている。

 大きいところでは誰もが社名を耳にしたことがある東証プライム上場企業や霞ヶ関の政府機関、小さなところでは従業員数名規模の企業や市町村役場に至るまで、毎日、あなたの知らないところで漏えい事件は起き続けている。

 頼まれもしないのに月ごとの情報漏えいの動向を勝手にウォッチしている、夏の陽炎のような本連載、今月も儚い。

●インシデント原因内訳

 さて、先月 2026 年 7 月に本誌が取り上げた事故・インシデント記事は 2026 年 6 月の 93 本から 9 本減となる全 84 本だった。事故原因最多は「不正アクセス」で 57 件( 67.9 %)を占め、「システム管理上のミス」が 6 件( 7.1 % )、「不正持ち出し」「誤送信ほか操作ミス」が 5 件( 6.0 % )で続いた。なお、記事として取りあげるインシデントは媒体方針(公知にすることで類似インシデントの発生低減に寄与する可能性の多寡 ほか)に基づいているため、これらの比率は全体傾向を示すものではない。

情報漏えい原因別記事一覧:不正アクセス
https://scan.netsecurity.ne.jp/special/3359/recent/

情報漏えい原因別記事一覧:メール誤送信
https://scan.netsecurity.ne.jp/special/3358/recent/

情報漏えい原因別記事一覧:設定ミス
https://scan.netsecurity.ne.jp/special/3457/recent/

● 被害規模ワースト

 7 月は先月、SCAN を席巻した KDDI への不正アクセスの影響で、ワースト 8 までが 100 万件を超えるという、大情報漏えい時代となってしまった。今月は特別に、3 位までとケチ臭いことは言わず、ワースト 5 までを紹介したい。

 7 月に最も件数換算の被害規模が大きかったのは、KDDI株式会社による「KDDI の ISP 事業者向けメールシステムに不正アクセス、ゼロデイ脆弱性を悪用」であった。先月の KDDI の続報であるため本来なら除外するのだが、件数が最大 1,422 万件から、1,223 万 3,087 名に下方修正されたので記録として記載しておく。KDDI クラスになると前回発表との修正差分だけでも 198 万 6,913 件と、札幌市の人口(196 万 3,070 人)をも上回る途方もない数字である。

 2 位のビッグローブ株式会社、5 位のJCOM株式会社も KDDI 関係である。このランキングでは取り上げてないが、6 位にはニフティ株式会社が、7 位には株式会社KDDIウェブコミュニケーションズが、9 位には中部テレコミュニケーション株式会社が、10 位には株式会社STNet が、KDDI への不正アクセスに関連してランクインしている。ワースト 10 中 7 件を占める。筆者は今までプロバイダのシェアを意識したことは無かったが、今回の漏えい件数から、各プロバイダの大凡の規模が透けて見えた次第である。

 KDDI の影に隠れてしまうが、アフラック生命保険株式会社の約 442 万件、株式会社2りんかんイエローハットの 317 万 9,454 名も、本来なら年間トップも狙える凄い数字だが巡り合わせが悪かった。

【 2026 年 7 月 被害規模ワーストトップ 5 】
5 位:KDDI の ISP 事業者向けメールシステムへの不正アクセス、JCOM の顧客 2,593,076 名分のメールアドレスが漏えい
原因:不正アクセス
件数:2,593,076 名
https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2026/07/14/55696.html

4 位:2りんかんイエローハットに不正アクセス、310万名分の個人情報が漏えい
原因:不正アクセス
件数:3,179,454 名分
https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2026/07/01/55609.html

3 位:アフラック生命保険に不正アクセス、約438万人の顧客情報が漏えい
原因:不正アクセス
件数:約 442 万件
https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2026/07/01/55610.html

2 位:5,016,432 人分の BIGLOBE メールアドレスが漏えい ~ KDDI の ISP 事業者向けメールシステムへの不正アクセス
原因:不正アクセス
件数:5,016,432 人
https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2026/07/08/55659.html

1 位:KDDI の ISP 事業者向けメールシステムに不正アクセス、ゼロデイ脆弱性を悪用
原因:不正アクセス
件数:12,233,087 名
https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2026/07/10/55680.html

● よく読まれた記事

 7 月の記事閲覧数ベスト 5 は下記の通りである。なお下記の閲覧数は Google Analytics 4 の数値に基づいて掲載している。今月は、1 位、2 位が奇跡の 3 万ページビュー超え、6 位までが 1 万ページビュー超えと、木っ端媒体 SCAN にしては絶好調だったので、出血大サービスで 5 位まで紹介する。

【 2026 年 7 月閲覧数ベスト 5】
5 位:日本交通が不正アクセスでシステムを緊急遮断、タクシー配車やハイヤー予約等に一部影響
10,952 ページビュー
https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2026/07/15/55706.html

4 位:村田製作所 IT環境への不正アクセス、自動車保険の顧客情報一部が外部に漏えい
12,989 ページビュー
https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2026/07/15/55707.html

3 位:マネーフォワードが利用する「GitHub」への不正アクセス、流出した可能性が判明した個人データの詳細公表
20,793 ページビュー
https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2026/07/07/55647.html

2 位:「QRでアクセスするので該当者しか閲覧できない」と思い込み ~ マラソンのボランティアの個人情報閲覧可能に
32,366 ページビュー
https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2026/07/17/55726.html

1 位:高速バスに乗ったら運転士から私的なショートメール ~ 予約データを運行管理者から不正取得
39,494 ページビュー
https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2026/07/14/55697.html

 1 位となったのは、九州急行バス株式会社の「高速バスに乗ったら運転士から私的なショートメール ~ 予約データを運行管理者から不正取得」の 39,494 ページビューであった。タイトルで出落ちしている芸人泣かせなニュースであるが、ご想像の通り、高速バスの運転士が、運行営業所内で運行管理者を通じてバスの予約情報を不正に閲覧・取得し、顧客に私的な内容のショートメールを送信したというものだ。コンプライアンスに厳しいこのご時世で、何故、運転士はこれが通ると思ったのか理解に苦しむところだ。そもそも接客業ならいざ知らず、バスの運転士は業務中は前を向いて運転しているはずだ。顧客と接する機会など殆ど無いと思うのだが、何故ショートメールを送ろうと思ったのかその動機について知りたい。

 2 位は千歳JAL国際マラソン実行委員会事務局の「「QRでアクセスするので該当者しか閲覧できない」と思い込み ~ マラソンのボランティアの個人情報閲覧可能に」32,366 ページビューであった。これは、千歳JAL国際マラソンの運営役員(ボランティア)用のQRコードを使ってアクセスする専用ページが、インターネットで検索すると外部から閲覧可能な状態になっていたというものだ。大会公式ホームページからはリンクを貼っておらず、運営役員(ボランティア)用の QRコードを使ってアクセスするページであったことから、該当者しか閲覧できないとの思い込みがあった、とのことだ。SCAN の読者には無縁かもしれないが、人によって IT リテラシーは異なるし、何をしたら情報が漏えいするのか分かりにくい時代である。こういった思い込みを正していくのは、なかなかに難しいなと感じた。

● 7 月のカード情報漏えい

 7 月は 1 件のクレジットカード情報漏えい事故が本誌メルマガに掲載された。なお、下記で件数として挙げているのは全てカード情報のみである。

「村瀬鞄行 オンラインショップ」に不正アクセス、個人情報の一部流出を懸念
件数:不明
https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2026/06/30/55597.html

 株式会社村瀬鞄行が運営する「村瀬鞄行 オンラインショップ」では、第三者からの不正アクセスによるシステム侵害が判明しており、個人情報の一部流出が懸念されたため、システムの稼働を部分的に見合わせるとともに、外部専門機関に調査を依頼している。

 現時点では流出についての詳細は判明していないが、クレジットカードによる支払を利用した顧客に対し、身に覚えのない利用履歴がないか確認するよう呼びかけているとのことだ。SCAN でも度々、言及しているが、いたずらに混乱を招くことを防ぐため、フォレンジック調査の完了とカード会社との連携を待ってから公表するという、何も決めないことを決める的な「カード情報漏えい時のお作法」に反したロックな対応に好感が持てる。

● 7 月の逮捕・懲戒案件

 7 月は情報漏えいに伴う各種の処分、逮捕、懲戒、行政指導等にまつわるニュース記事は 5 件だった。なかなかの豊作である。

《リーク・東郷》

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