チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社は7月29日、年次調査「AIセキュリティレポート 2026」を発表した。チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの脅威インテリジェンス部門であるチェック・ポイント・リサーチ(CPR)が作成している。
同レポートは、過去1年間に実際に確認されたインシデントやテレメトリ、独自のケーススタディから、攻撃チェーンのあらゆる段階にAIが直接関与するようになったことで、セキュリティ担当者の対応にどのような変化が生じたかを明らかにしている。
同レポートの主な調査結果は下記の通り。
・AIは今や攻撃を支援するだけでなく、実行する段階に入っている
CPRは、AIがエクスプロイトのワークフローを自律的に実行し、各ステップでの人的な指示を最小限に抑えながら、数十回にわたるセッションで数千件のコマンドを実行した侵害事例を確認。
・脆弱性の悪用可能期間が数日から数時間へと短縮
AIは現在、新たに公開された脆弱性情報から、わずか数時間で実用的なエクスプロイトの作成が可能に。ある政府当局では、インターネットに接続された最も重要度の高いシステムについて、義務付けられた是正対応の期限を最短12時間へと短縮。
・悪意ある長文のプロンプトインジェクションペイロードの検出件数が、2026年3月から5月にかけて約5倍に急増
大規模な悪意あるペイロードの急増は、間接的なプロンプトインジェクションがもはや理論上の脅威ではなく、日常的な攻撃経路として、企業にとって現実的なリスクとなっていることを示す。
・本人確認はもはや単独では通用しないセキュリティ対策に
音声、顔、文書、リアルタイム映像は、いずれも極めて精巧かつリアルに生成できるようになっており、高度な訓練を受けた専門家でさえ、AIが生成した顔を正しく識別できた割合は約41%にとどまる。組織は視覚的な本人確認だけに頼るのではなく、より強固な本人確認の仕組みや多要素認証(MFA)、アウトオブバンド認証へと移行する必要がある。
・企業環境における高リスクなAIプロンプトの割合が1年で倍増
企業におけるリスクの高いAIプロンプトは、およそ50回に1回から、25回に1回へと倍増。
・企業におけるデータ漏えいの多くは、攻撃ではなく日常的なAI利用によって発生している
データ漏えいの多くが、承認されたAIの通常利用に起因。従業員がAIから有用な回答を得るために、自覚している以上に多くの背景情報を共有することが原因。
CPR バイスプレジデントのLotem Finkelstein氏は「AIは今や、実際の攻撃チェーンに入り込み、かつては高度な技術を持つチームが必要だった攻撃オペレーションをAI単独で実行するようになっています。高度な技術を持つ攻撃者とそれ以外とを隔てていた専門知識の壁は急速に消えつつあり、防御側はもはや、攻撃のペースを握っているのが人間であると想定することはできません。」とコメントしている。
