世界はこれまで国家(State)が中心的なアクターとなることで動いてきた。今でも多くのことは国家を単位に語られることが多い。しかし近年それ以外のアクター = 非国家アクター(Non State Actor)の重要性が増してきた。もっとも注目されている非国家アクターはいわゆる GAFAM などのビッグテックで、それ以外にも数多くの非国家アクターがいる。本連載では、こうしたまだ知られていない非国家アクターを取り上げてご紹介してゆきたい。
--
「桐島聡」という人物がガンで死んだらしい。この人の写真は交番に貼ってあるのを見たことがある。非常に珍しい人生を送ったらしいので記事をいくつか読んでみた。学生運動をやっていて指名手配されて隠れて暮らすうちに気がついたら末期ガンで死んじゃったということのようだ。思想的なことに触れた記事はあまりなく、とってつけたような「セルフ終身刑」という言葉がやたら目障りだった。
記事を読む限りでは潜伏中は仕事と酒の日々だったようだ。思想的な活動はせず、結婚もせず、ひたすらにありきたりな日常を繰り返して 40 年をすごす。

ほとんどの人はきわだって向上心があるわけでも、努力家でもなく、特別な才能もない。そういう人は時代の流れというものには逆らえない。世界の多くの国では分断と権威主義化が進んでいるから、多くの人は分断されたどちらかに帰属意識を持つようになり、その多くは権威主義に進むのだろう。分断の衝突が国内と国外で紛争や戦争を引き起こす。
今の世の中は特別なことをしなければどんどん悪くなっていくようになっている。気候変動、資源エネルギー不足、パンデミック、格差、そして移民の増加がその原因だ。世界の国々が協調して向き合わなければよい方向に進まない。悪いことに協調とは逆の対立と衝突に向かっている。だから、世の中が悪くなる勢いは加速する。
その時、影響を受ける人々は決まっている。気候変動、資源エネルギー不足、パンデミックの影響を受けやすいのは南半球が中心で、下層階級の人たちは北半球にいてもしわ寄せとなる。収入と資産の格差は広がる。グラフを見ると一目瞭然のように、上位 10 %の人々が日本の資産の半分以上を保有し、収入もほぼ半分近い。
