NRIセキュア 日米豪セキュリティ実態調査発表、日本は生成 AI 導入率も低迷 | ScanNetSecurity
2024.04.27(土)

NRIセキュア 日米豪セキュリティ実態調査発表、日本は生成 AI 導入率も低迷

NRIセキュアは、日本、アメリカ、オーストラリア3カ国を対象とした「企業における情報セキュリティ実態調査2023」の結果を発表した。同調査は2022年度から実施されており、今回で21回目となる。

調査・レポート・白書・ガイドライン
生成AIサービスのルール整備と導入の状況
  • 生成AIサービスのルール整備と導入の状況
  • 生成AIサービスの利用に関する整備済み・整備予定のセキュリティルール(国別)
  • DMARCの実施・検討状況(国別)
  • 経済安全保障推進法に関連して、サイバー分野を含むセキュリティの強化を意識している日本企業の割合

 NRIセキュアテクノロジーズ株式会社(NRIセキュア)は1月25日、日本、アメリカ、オーストラリア3カ国を対象とした「企業における情報セキュリティ実態調査2023」の結果を発表した。同調査は2022年度から実施されており、今回で21回目となる。

 同調査は2023年8月1日~9月29日(日本)および同年9月8日~9月29日(アメリカ、オーストラリア)にかけてWebアンケートにより実施されたもので、回答企業数は日本が1,657社、アメリカが540社、オーストラリアが586社となっている。

 発表では、「生成AIサービスの導入状況」「生成AIサービスの利用に関するセキュリティルール」「DMARCの実施率」「経済安全保障推進法を受けてのセキュリティ強化の意識」を取り上げている。なお、レポートの詳細版は同社サイトから入手できる。

 生成AIサービスの導入状況について「導入済み」と回答した割合は、日本は18%(従業員1万人以上の企業では50%)であり、73.5%のアメリカ、66.2%のオーストラリアより低い数値となった。

 セキュリティルールを整備した上で導入済みの割合は、日本10.5%、アメリカ41.1%、オーストラリア25.9%となっている。また、日本の企業で生成AIを「不要のため未導入」と回答した割合は、従業員1千人未満で47.2%と高い割合を占めた(1千人~1万人:27.4%、1万人以上:13.6%)。

 生成AIサービスの利用に関するセキュリティルールについて国ごとに見ると、日本は「機密情報を入力してはいけないルールを定めている」が59.2%で最も高かった(アメリカ38.4%、オーストラリア31.6%)。

 アメリカでは「利用時の承認プロセスを整備している」が61.6%で最も高く(日本21.6%、オーストラリア36.4%)、オーストラリアでは「定期的に利用しているサービスを確認している」が51.0%で最も高かった(日本6.7%、アメリカ55.9%)。

 DMARCの実施率は、オーストラリア(89.4%)とアメリカ(81.8%)に対し日本は非常に低い(13.0%)結果となった。DMARCのポリシーについては、「Reject(DMARC認証に失敗したメールを拒否)」で実施している割合はアメリカ、オーストラリアが約1/4であるのに対し、日本は3.0%であった。

 アメリカ、オーストラリアは以前から政府主導でDMARCの実施が推進されていたため実施率が高いと考えられるが、日本においても政府をはじめ多くの業界でDMARCが実施を推進されており、さらにGoogleのメール送信者ガイドラインの改定によって、今後は実施が進むとしている。

 2022年に日本で成立した経済安全保障推進法に関連して、サイバー分野を含むセキュリティの強化を意識しているかどうかを日本企業に尋ねた結果では、「強く意識している」「意識している」と回答した割合は、全体の39.6%となった。

 このうち、国民生活や経済活動の基盤となるサービスを提供する「特定社会基盤事業者」に指定された企業に絞ると、88.2%の企業(17社中15社)がセキュリティ強化を「強く意識している」「意識している」と答えている。

《吉澤 亨史( Kouji Yoshizawa )》

編集部おすすめの記事

特集

調査・レポート・白書・ガイドライン アクセスランキング

  1. 社員のセキュリティ意欲高める施策とは? 罰則は逆効果 ~ プルーフポイント「2024 State of the Phish」日本語版公表

    社員のセキュリティ意欲高める施策とは? 罰則は逆効果 ~ プルーフポイント「2024 State of the Phish」日本語版公表

  2. 重い 高い 検索も使いにくいメールを企業の 6 割が使う理由

    重い 高い 検索も使いにくいメールを企業の 6 割が使う理由

  3. ランサムウェアに身代金を支払う傾向の強い組織の構造が明らかに

    ランサムウェアに身代金を支払う傾向の強い組織の構造が明らかに

  4. 「情報セキュリティの敗北史」はサイバーセキュリティの歴史と概念が学べる教科書だった(一田和樹 サイバーブックレーダー)

  5. 社長犯行 会社黙殺 報道沈黙、ジャニーズ事務所 外部チームの調査報告書公開

  6. フィッシングサイトのドメイン「top」が最多、デジタルアーツ調査

  7. 総務省「無線LANセキュリティガイドライン」更新、自宅と公衆に分冊

  8. IPA「サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver 3.0実践のためのプラクティス集 第4版」公開

  9. 2024年第1四半期 IPA 情報セキュリティ安心相談窓口の相談状況、サポート詐欺被害時の漏えい可能性判断ポイントほか

  10. ガートナー 2024 年 サイバーセキュリティトップトレンド

アクセスランキングをもっと見る

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×