独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は12月21日、企業がDX推進における人材の重要性を踏まえ、個人の学習や企業の人材確保・育成の指針として「デジタルスキル標準(DSS)」を策定したと発表した。DSSは、すべてのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルの標準「DXリテラシー標準(DSS-L)」と、DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルの標準「DX推進スキル標準(DSS-P)」により構成される。
企業がDXを実現するには、企業に所属する一人ひとりがDXの素養を持っている状態、つまりDXに理解・関心を持ち自分事としてとらえている状態を実現することが不可欠。また、企業がDX戦略を推進するには、関連する専門性をもった人材が活躍することが重要となる。
デジタルスキル標準で対象とする人材は、デジタル技術を活用して競争力を向上させる企業等に所属する人材を想定。このうち、DXリテラシー標準は全てのビジネスパーソンを対象としており、DX推進スキル標準は企業・組織において専門性を持ってDXの取組みを推進する人材(DXを推進する人材)を対象としている。
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セキュリティの観点では、DXリテラシー標準においては「セキュリティ技術の仕組みと個人がとるべき対策に関する知識を持ち、安心してデータやデジタル技術を利用できる」ことが求められる。内容については、「セキュリティの3要素」、暗号やワンタイムパスワードなどの「セキュリティ技術」、IDやパスワードの管理、アクセス権の設定など「個人がとるべきセキュリティ対策」などとなっている。
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DX推進スキル標準では、「業務プロセスを支えるデジタル環境におけるサイバーセキュリティリスクの影響を抑制する対策を担う人材」と定義され、「DXによる価値提供とセキュリティ対策とのバランス確保を通じて自組織の戦略遂行に貢献する」「外部のサイバーセキュリティ専門事業者も活用しながら、兼務でも可能な範囲で担うべき業務を遂行」「他の人材類型と連携して、DX推進に伴うデジタル環境のリスクによる被害を抑制」などの役割やアクションが求められる。
IPAでは、デジタルスキル標準に規定されたDX推進における人材の重要性を踏まえ、個人の学習や企業の人材確保・育成の指針とすることを勧めている。
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