セキュリティ業界では、大きなスキルギャップがあるという話をよく聞く。特定の領域で人材が不足しているのは事実だが、業界ウォッチャーの中には、ゼネラリストが供給過剰になっているのではないかと考える人たちもいる。
セキュリティ人材の不足に関する警告は毎年のように発せられている。The Register で最初に見つけた警告は 2009 年のものだが、その記事を書いた記者は最近、面接にこぎつけることさえ難しいと語るセキュリティ分野の人たちに遭遇することが多くなっている。
カリフォルニア大学バークレー校サイバーセキュリティ修士課程でキャリアアドバイザーを務めるメアリー・マクヘイル氏は、The Register の取材で次のように語った。「私がこの仕事を始めた頃は『Cybersecurity』の綴りが書ければ面接は受けることができる感じだった、そう学生たちに冗談のように話します。今では多くのことが変わりました」
「コロナ禍では、大々的なサイバーセキュリティ人材の採用がありました。その後、企業は『大勢採用しすぎたから人員削減が必要だ』と言うようになりました。その結果、たいへん有能な技術者が解雇され、あらゆる領域で市場に人材があふれ、そういった人たちが自らのポジションを変えようとし始めたのです」
この問題は、市場に登場した最新世代の AI 製品によっても悪化しており、それはセキュリティ分野に限ったことではないとマクヘイル氏は説明した。いまや AI エージェントが履歴書を判断することも見られるようになっており、多くの求職者はそのようなソフトウェアに対峙して面接までこぎつけるだけのスキルを欠いている。
また、採用予定のない求人が、求人サイトを混乱させているという問題もあるとマクヘイル氏は付け加えた。複数の調査で、調査対象となった人事担当者の大半は、存在しないポジションの求人広告を出していると報告している。その理由は、内部関係者と外部の人たちの双方に「事業が成長しているという印象を与え」、自社スタッフに「いくらでもおまえの代わりがいる」と思わせて働く気にさせる意図等さまざまである。
米国立標準技術研究所、CompTIA、人材コンサルティング企業の Lightspeed 社のパートナーシップのもとで Cyber Seek 社 が発表した市場データによると、セキュリティ関連の求人数は 2022 年にピークに達し、この分野で働く人の数は頭打ちとなっている。
最も需要が高いスキルは監視とガバナンスで、これらは主に経験豊富な実務家に適している。以前からフロリダ州、カリフォルニア州、テキサス州が主要な雇用市場だが、バージニア州もメリーランド州やニューヨーク州と同様に上位にランクされている。