2020 年 4 月 1 日、コロナの脅威が世界中に広がる中、明治大学にサイバーセキュリティ研究所が設置された。世界が大きく変わるパンデミックの時期に誕生したのは歴史の必然だったかもしれない。なぜなら、この研究所は日本の情報安全保障の一翼を担うべく設立されたものだからだ。
明治大学サイバーセキュリティ研究所の所長である齋藤 孝道教授(@saitolab_org)に話をうかがった。
●研究所のミッション 情報安全保障とは?
サイバーセキュリティといえば、以前は技術的側面が強かったが、現在はそれと同等あるいはそれ以上に安全保障上の側面が強くなってきている。しかし、日本ではまだその認識を持っている人が少ないのではないだろうかと齋藤教授は語る。齋藤教授自身は情報安全保障についての意識は持っていたものの、2018 年に、NATO のサイバー防衛協力センターCCDCOE の主宰するカンファレンスCYCON に出席して認識を新たにしたという。CCDCOE はサイバー空間での国際法を研究したタリンマニュアルで有名だ。
齋藤孝道教授「日本では、サイバーセキュリティというと暗号やマルウェアなど技術的なイメージが強いですが、海外では安全保障上の問題としてとらえるのが当たり前になっていることに驚きました」