作家・評論家の一田和樹氏に、今年復刊されたサイバーセキュリティ分野の超重要書『超限戦』のレビューを依頼し快諾をいただき、防衛セクターに向けて書かれた前編を終戦記念日を控えた8月13日に配信しました。今回公開する後編は、日本の民間企業、特に IT 企業経営層に向けて書かれています。
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1.世界の情報インフラを制覇しつつある中国
角川新書から今春復刊された 21 世紀の戦争論『超限戦』は中国が進めている施策の解説書としても読むことができる。中国がスリランカに経済協力という名で金を高金利で貸し付け、その返済の代わりにスリランカ南部ハンバントタ港の 99 年間の権利を得たことはその代表例だ。
さらに深刻なのは相手国の情報基盤をそっくり手に入れているやり口である。それは「デジタル権威主義」の輸出と揶揄されている。相手国に資金を提供し、その資金で国民監視システムを構築させ、HUAWEI や ZTE といった中国の IT 企業に受注させる。これによってその国の政府は、国民ひとりひとりの全ての行動を「監視カメラ」「本人のスマホ」「通信傍受」「SNS 監視」によって傍受し AI によってリアルタイムで分析、把握できるようになる。
これがあればテロや抗議活動、犯罪まで容易に発見できる。そしてその情報が中国本土にもリアルタイムで共有されたらどうなるのか? 中国の監視システムはアジア、ラテンアメリカ、アフリカに普及しつつあり、欧米の NPO やシンクタンクは警告を発している。
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1.世界の情報インフラを制覇しつつある中国
角川新書から今春復刊された 21 世紀の戦争論『超限戦』は中国が進めている施策の解説書としても読むことができる。中国がスリランカに経済協力という名で金を高金利で貸し付け、その返済の代わりにスリランカ南部ハンバントタ港の 99 年間の権利を得たことはその代表例だ。
さらに深刻なのは相手国の情報基盤をそっくり手に入れているやり口である。それは「デジタル権威主義」の輸出と揶揄されている。相手国に資金を提供し、その資金で国民監視システムを構築させ、HUAWEI や ZTE といった中国の IT 企業に受注させる。これによってその国の政府は、国民ひとりひとりの全ての行動を「監視カメラ」「本人のスマホ」「通信傍受」「SNS 監視」によって傍受し AI によってリアルタイムで分析、把握できるようになる。
これがあればテロや抗議活動、犯罪まで容易に発見できる。そしてその情報が中国本土にもリアルタイムで共有されたらどうなるのか? 中国の監視システムはアジア、ラテンアメリカ、アフリカに普及しつつあり、欧米の NPO やシンクタンクは警告を発している。