株式会社NTTデータは6月7日、同社に関する週刊誌の報道を受けて設置した特別調査委員会の調査結果と社内処分について発表した。 2020年3月4日発売の「週刊文春」にて報じられた総務省幹部と同社の幹部等との間における会食について、同社では3月9日に事実関係の解明と原因究明等を目的に取締役会決議により特別調査委員会を設置、調査を行っていた。 本調査では、同社の取締役、執行役員、相談役及び顧問が総務省幹部職員及び政務三役との間で、2016年4月1日から2021年3月31日までの過去5年間に行った会食を対象に、決裁書類や社内規程類、同社幹部の予定表等の収集と関係者へのヒアリング等を実施した。 調査の結果、以下の同社幹部と総務省幹部職員との会食2件が判明した。・会食1年月日:2019年11月7日場所:「会‐cai」(同社本社ビル36階)社外出席者:総務省総合通信基盤局長(当時)・A氏、C社代表取締役・D氏社内出席者:岩本敏男同社相談役同社支出額:74,400円会食での話題:主にサイバーセキュリティ、中国のデジタルガバナンス等に関するもの。なお、総務省との取引やNTTに関する話題はなし。・会食2年月日:2020年7月3日場所:「CLUB KNOX‐麻布」(東京都港区麻布十番1丁目)社外出席者:総務省総務審議官(当時)・A氏、外務省外務審議官(当時)・B氏、C社代表取締役 D氏社内出席者:岩本敏男同社相談役同社支出額:105,764円 ※他、A氏及びB氏は各5,000円を支払った。会食での話題:主にアメリカ大統領選の情勢分析、新型コロナウイルス、米中関係に関するもの。なお、総務省との取引、NTTドコモ子会社化、携帯電話料金値下げその他NTTに関する話題はなし。 特別調査委員会では、両会食について岩本相談役に贈賄の疑いは認められなかったとしたが、社内規程として公務員に対する接待を禁じた「グローバル・コンプライアンス・ポリシー(日本版)」及び社長通達(年2回発出)に違反したものと認められるとしている。 また上記会食1当時は、総務省との間で同省総合通信基盤局を発注部局とする契約関係にあり、上記会食2当時は、総務省との間で同省を発注者とする契約関係にあったため、上記両会食は、A氏において国家公務員倫理法及び国家公務員倫理規程に違反する供応接待に該当する可能性が高いものであり、岩本相談役には同法及び同規程の適用はないが、会食の相手方に同法・同規程違反の疑いを惹起させた点において、一定の道義的責任があるものと思料すると結論づけている。 さらに調査で判明した問題点として、同社元経営トップであった岩本相談役のコンプライアンス意識・認識の甘さについて言及している。 同社では調査結果を受けて、相談役 岩本 敏男氏に報酬減額(2021年7月報酬より月額報酬30%減×3ヵ月)の社内処分を行う。