本当にできる? 携帯ショップでマイナンバーカード申請 | ScanNetSecurity
2021.09.21(火)

本当にできる? 携帯ショップでマイナンバーカード申請

1月2日、産経新聞が独自取材として、政府が携帯ショップでマイナンバーカードの申請ができるように検討していると報じた。機種変更に何時間も待たされるショップが、そんな事務処理負担に耐えられるのだろうか。

特集 コラム
 新年早々の1月2日、産経新聞が独自取材として、政府が携帯ショップでマイナンバーカードの申請ができるように検討していると報じた。機種変更に何時間も待たされるショップがそんな事務処理負担に耐えられるのだろうかというのが筆者の第一印象だ。

 マイナンバーとマイナンバーカードの違いについて、本誌 ScanNetSecurity の読者に説明する必要はないかもしれないが、簡単にいえば、マイナンバーカードは、マイナンバーを元にして作成した電子鍵をICチップに書き込んだもので、マイナンバーそのものではない。これもよくある誤解だが、カード内に細かい個人データが格納されるわけではない。しかし、カードにマイナンバーの記載があるので、取り扱いが面倒になる傾向がある。

 政府はデジタル庁設立にあわせてマイナンバーカードを国民に行き渡らせたい。産経の報道はこの動きにならうものだといえる。

 報道によれば「カードの申請と受け取り手順のどこかで役所などでの対面の本人確認が必要で、普及のさまたげになっている。休日も営業し、対面の本人確認業務等のスキルもある携帯ショップを利用できるようにすれば普及にはずみがつく」というのが、携帯ショップでのマイナンバーカード業務解禁の主旨だ。

 しかし、ご存じのとおり休日の携帯ショップは、予約をしなければ整理券をとって何時間も待たされるのが常態化している。さらに順番がきても最低1時間は窓口にはりつく。機種変更なども、本人確認の他、契約の諸説明といわゆる「レ点チェック」が延々と続く。最後に開通手続きに30分、40分と待たされる。海外なら(とくに東南アジア)、100ドルの端末を自動販売機で買って自分のSIMを差し替えれば終了する作業が日本では半日仕事になる。土日の携帯ショップのいったいどこに、マイナンバーカード申請や受領の事務手続きをねじ込む余地があるのだろうかと再度思う。

 とはいえ、ショップ側も国から事務処理の受託収入が期待できるはずだ(事務処理代行の契約がどうなるかはまったく白紙だが)。また、将来的にはスマートフォンをマイナンバーカード代わりにするという案もある。さらに携帯電話の契約(本人確認)にもマイナンバーカードの利用が解禁され可能性もゼロではない。通信キャリアやショップにとってそう悪い話ではない。

 だが、懸念もある。通信キャリアやショップが「マイナンバーカード割引」のようなプランを作って、新手の抱き合わせ「レ点商法」の商材として利用されることだ。

 そもそもショップの手続きにやたら時間が必要なのは、元をただせば通信キャリア(古くは端末メーカー)と販売代理店(ショップ)の複雑な販売契約と、インセンティブがわかりにくい料金体系にしたことが原因だ。さらに、通信キャリアがサービス事業にも手を出し、詐欺的ともいえるオプション契約ビジネスモデルを作り上げた。

 その都度、当局の規制が入り、不透明な料金体系や抱き合わせ販売などは是正されていったが、代わりに店頭での長時間のサービス説明、契約事項の同意確認作業など手続きがさらに複雑化した。この状況は我々消費者側にも責任はないわけではない(不明瞭販売のおかげで高校生が10万円のiPhoneを持てる)。

 そしてセキュリティ的な課題もある。ショップがマイナンバーカードの申請を代行する場合、申請情報をブラックボックス化し、ショップ側に個人情報などが残らない工夫が必要となる。理想は、ショップは右から左へ処理するだけで中身をいっさい見ない、記録しないプロセスだ。しかし、本人確認を行う場合、個人データ(データは電子的とは限らない)へのなんらかのアクセスが発生する可能性がある。

 ただし、もちろんこのリスクは、ショップだろうが役所の窓口だろうが本質的違いはない。ショップ代行が特別危険というわけではないから、うまくやればマイナンバーカードの普及にはずみがつくのは確かだ。この問題は今後も注視していきたい。
《中尾 真二( Shinji Nakao )》

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