消費者庁は9月25日、マンションの管理会社の関係者を装いマンション全体のインターネット接続サービスが切り替わるかのように告げてインターネット接続サービスの契約を行う事業者に関する注意喚起を行った。同庁によると「マンションのWi-Fiの回線速度が遅いので、マンションの管理会社から別の無線ルータを無償でお渡ししているんです」「各部屋のWi-Fi機器を交換しなければいけません」「マンションのWi-Fiが遅いから、管理会社から許可をもらってソフトバンクに切り替えます。その手続に回っています」 などと、マンション管理会社の関係者を装いマンション全体のインターネット接続サービスが切り替わるかのように告げてインターネット接続サービスの契約をさせる事業者に関する相談が、各地の消費生活センター等に数多く寄せられており、同庁が調査を行ったところ、株式会社レイスペック、Sail Group株式会社が連携共同し消費者の利益を不当に害するおそれがある行為(不実告知)を行ったことを確認したため、消費者安全法第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生と拡大の防止のために情報を公表し消費者に注意を呼びかけている。 同庁の確認結果によると、レイスペック社、Sail Group社の2社がマンション管理会社からインターネット接続サービスの勧誘について依頼を受けた事実も、マンション全体のインターネット接続サービスが本件サービスに切り替わることになった事実もなく「不実告知」にあたる。レイスペック社は「SoftBank Air」と称するインターネット接続サービス等を提供するキャリア事業者と消費者との契約の締結を媒介するなどの業務を行っており、自ら本件サービス等の勧誘を行う他、Sail Group社に委託して本件サービス等の勧誘を行っている。2社は、本件サービスについてキャリア事業者から代理店登録を受けておらず、消費者に対しサービス等の勧誘を行う際は自社の社名ではなく、代理店登録を受けているg-room株式会社を名乗っていた。 同庁では勧誘についての行為はSail Group社が行っていたが、その上で勧誘の主体について、Sail Group社が獲得する本件サービスの契約についての報酬は、レイスペック社が支払いを受ける報酬を原資としてレイスペック社からSail Group社に支払われていること、Sail Group社が営業を行うにあたり必要な事務所などを手配していたのはレイスペック社であること、レイスペック社の代表取締役がSail Group社に一定金額の出資を行っていたことから、2社が連携共同の上でしたことと認められる。なおg-room社は、レイスペック社から依頼を受けて2社がg-room社を名乗って勧誘することを容認したものの、名義使用に対する報酬や2社が獲得した本件サービスの契約に関する報酬を受け取っておらず、積極的に関与している事情は認めらなかった。 本件を公表したことについて同庁では、Sail Group社は既にインターネット接続サービスの勧誘を取りやめているが、レイスペック社は現在も勧誘を続けており、また、2社以外にも同様の手口でインターネット接続サービスの勧誘を行う事業者に関する消費者からの相談が数多く寄せられていることを挙げている。