BEC実態調査公開、もっとも多い攻撃アプローチは(JPCERT/CC) | ScanNetSecurity
2024.07.27(土)

BEC実態調査公開、もっとも多い攻撃アプローチは(JPCERT/CC)

JPCERT/CCは、「ビジネスメール詐欺の実態調査報告書」を公開した。

調査・レポート・白書・ガイドライン
IPA「ビジネスメール詐欺の 5 つのタイプ」と収集した事案における各タイプの確認
  • IPA「ビジネスメール詐欺の 5 つのタイプ」と収集した事案における各タイプの確認
  • 口座変更に用いられた理由
一般社団法人 JPCERT コーディネーションセンター(JPCERT/CC)は3月25日、「ビジネスメール詐欺の実態調査報告書」を公開した。同報告書は、調査結果や公開情報などをもとに脅威の動向や変遷を踏まえ、BECに対して組織がとるべき行動などをまとめたもの。BECは組織によって定義は異なるものの、「取引先などになりすました電子メールを送って送金を促す詐欺行為」という点は共通している。

同調査は、JPCERT/CCが日本貿易会ISAC、石油化学工業協会などにアンケートの協力を求め、調査の趣旨に賛同した12組織から得た117件の回答をまとめている。また、アンケートに応じた組織のうち6組織には訪問したうえでBEC事案の詳細や対策状況について聞いている。なお、BECには「取引先との請求書の偽装」「経営者などへのなりすまし」「窃取メールアカウントの悪用」「社外の権威ある第三者へのなりすまし」「詐欺の準備行為と思われる情報の詐取」の5つのタイプを定義している。

調査結果によると、もっとも多いBECのタイプは「取引先との請求書の偽装」で約75%を占めた。添付ファイルの形式は「PDF」が9割を占め、無料の変換ソフトや変換サイトを利用して作成されていた。BECでは最終的に振込先を変更するが、その理由には「年次監査を受けており口座が利用できない」「税金の問題によりメイン口座が審査中」「小切手発行のためメイン口座の財務記録中」などの理由が目立ったという。

請求は、基本的に外貨建ての送金を指示するものであったが、大半の事案ではBECと気づいて実害には至っていない。気づいた理由には、請求書などの体裁が不自然であったり、見慣れない地域への送金であったり、送金先口座が凍結されていたケースもあった。一方で、日本円で数百万~数千万単位の被害に遭った事例もあった。BECの対策には、実務面と技術面の双方が必要としている。
《吉澤 亨史( Kouji Yoshizawa )》

編集部おすすめの記事

特集

調査・レポート・白書・ガイドライン アクセスランキング

  1. ランサムウェアの種別特定やセカンドオピニオンも ~ セキュリティ企業も頼りにできる JPCERT/CC

    ランサムウェアの種別特定やセカンドオピニオンも ~ セキュリティ企業も頼りにできる JPCERT/CC

  2. 迷惑メール対策推進協議会「送信ドメイン認証技術 DMARC導入ガイドライン」公表

    迷惑メール対策推進協議会「送信ドメイン認証技術 DMARC導入ガイドライン」公表

  3. 「セキュリティ対応組織の教科書」第3.1版公開、追加説明やフィードバック反映

    「セキュリティ対応組織の教科書」第3.1版公開、追加説明やフィードバック反映

  4. 1,952 社から 9,208 件の報告 ~ 2023年度 Pマーク付与事業者の個人情報取扱いにおける事故

  5. 取締役や幹部への罰金 禁固 罷免 解雇 ~ サイバー攻撃後の被処罰最多は APJ 地域

  6. 世界中の警察官が考える現在/未来の脅威「インターポール世界犯罪動向2022」公表

  7. 「シャドーアクセスとは?」CSAJ が定義と課題をまとめた日本語翻訳資料公開

  8. フィッシングサイトのドメイン「top」が最多、デジタルアーツ調査

  9. 「無料求人広告」無料期間終了後 高額請求、法人間のトラブル事例

  10. Proofpoint Blog 36回「身代金を払わない結果 日本のランサムウェア感染率減少? 感染率と身代金支払率 15 ヶ国調査 2024」

アクセスランキングをもっと見る

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×