日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は3月4日、「2019年IBM X-Force脅威インテリジェンス・インデックス(英語)」の結果を発表した。同レポートは、130カ国以上における1日あたり700億件のセキュリティ・イベントの監視から得られる、洞察と観察で構成されたもの。これによると、セキュリティ面の対策と認知度が高まったことで、サイバー犯罪者は投資収益率(ROI)の向上を求めてその攻撃手法を変えていることが判明したとしている。2018年には、ユーザに気づかれないように仮想通貨の発掘を行うクリプトジャッキング攻撃の件数が、ランサムウェア攻撃の2倍近くに達した。ビットコインなど仮想通貨の価格が2018年にかけて2万ドルに迫る高値となったことで、被害者のコンピューティング能力を密かに使った低リスクで手間もかからない攻撃が増えた。事実、IBMのスパム研究者が2018年に把握したランサムウェア・キャンペーンは、世界最大級のマルウェア・スパム配信ボットネットであるNecursによるもの1件のみであった。また、マルウェアの代わりに管理用ツールを悪用するケースが増加したり、PowerShellやPsExecといった一般的な管理アプリケーションを利用するケースが全体の57%を占めたり、特定のターゲットに対するフィッシング攻撃が全体の3分の1(29%)を占めるなど、サイバー犯罪者は違法な利益を得るためにステルス技術を変えている。レポートではこのほか、フィッシング攻撃の45%をBECが占めたこと、2018年にもっとも多く攻撃を受けた業種として、運輸業界が2位に上がったこと、設定のミスによるインシデントが前年から20%増加したことなどを記載している。