株式会社ラックは9月25日、同社のセキュリティ監視センター「JSOC」によるセキュリティレポート「JSOC INSIGHT vol.17」を公開した。本レポートは、JSOCのセキュリティアナリストによる日々の分析結果に基づき、日本におけるセキュリティインシデントの発生傾向を分析したもの。レポートによると、2017年4月から6月に発生した重要インシデント件数は、インターネットからの攻撃によるものが128件(前四半期は164件)、内部から発生したものが225件(同168件)であった。前者の減少は、HeartBleedを悪用した攻撃による重要インシデントの件数は増加したものの、Apache Strutsの「S2-045」の脆弱性対策が完了したとみられること。後者の増加は、ET-Trojanの感染による重要インシデントが増加したことや、UrsnifやDNS Changerの感染の増加などが要因であるとしている。またレポートでは、注目のトピックとして「WannaCryの感染事例」「DDoS攻撃に関する通信の検知傾向」を取り上げている。WannaCryの事例では、定期的なソフトウェアのアップデート、各種設定の見直しがインシデントを防ぐ鍵としている。またDDoS攻撃では、SNMP、DNS、NTPをはじめとした、DDoS攻撃の踏み台として利用可能なサービスの探査通信を定常的に検知している。なお、SOCではNTPの探査通信の検知件数の一時的な急騰を確認しており、DDoS攻撃の準備が行われたと推測している。