「WannaCry」のワーム活動が拡散する土壌は十分にあった--上半期レポート(トレンドマイクロ) | ScanNetSecurity
2024.07.27(土)

「WannaCry」のワーム活動が拡散する土壌は十分にあった--上半期レポート(トレンドマイクロ)

トレンドマイクロは、日本国内および海外でのセキュリティ動向を分析した報告書「2017年上半期セキュリティラウンドアップ:ランサムウェアの多様化が生んだ『WannaCry』の深刻な被害」を公開した。

調査・レポート・白書・ガイドライン
日本におけるランサムウェア検出台数推移
  • 日本におけるランサムウェア検出台数推移
  • 2017 年上半期日本のランサムウェア検出台数におけるファミリー別割合
  • インターネットからポート445 にアクセス可能なWindows 環境の「Shodan」での検索結果例
  • オンライン銀行詐欺ツール検出台数(日本)
トレンドマイクロ株式会社は9月21日、日本国内および海外でのセキュリティ動向を分析した報告書「2017年上半期セキュリティラウンドアップ:ランサムウェアの多様化が生んだ『WannaCry』の深刻な被害」を公開した。報告書によると、2017年上半期に全世界で検出された脅威(ファイル、メール、Web)の合計数は380億以上となった。このうち340億をメールが占め、不正ファイル数は30億、不正URLへのアクセス数は6億であった。主要な攻撃経路としてスパムメールを用いるランサムウェアやBECが依然として猛威を振るっている。。

また同半期は、ランサムウェアの国内検出台数が2万1,600台を記録した。特に、5月中旬に世界的な攻撃が確認されたランサムウェア「WannaCry」が猛威を振るい、6月末までの2カ月弱で、国内で6,700台以上の検出が確認された。これは、同半期に国内で検出されたランサムウェアの約31%を占めた。また、引き続き世界的にランサムウェアの新種が登場しており、2017年4月~6月には過去最大の110種の新種ランサムウェアを確認した。

「WannaCry」とその後登場した「Petya」は、既存のランサムウェアにWindowsの「SMBv1の脆弱性(MS17-010:CVE-2017-0144)」を利用するなどのネットワークワーム活動が追加されたもの。ワーム活動を行うためには、侵入対象のポート445への直接アクセスが必要だが、その成功率は低いとみられていた。

それでも感染が拡大したのは、ポート445への直接アクセスが可能だったことであり、同社が5月18日に「Shodan」で実施した調査では、全世界で50万件以上、日本でも3万件近くが同ポートを開放していた。この7割以上が「SMBv1サーバ」を使用していると推測されるため、WannaCryのワーム活動により拡散する土壌は十分に存在していたとみている。

レポートではこのほか、国内のオンライン銀行詐欺ツール検出台数が、昨年同期比約1.3倍に増加していることや、ランサムウェア「多様化」の傾向が日本にも流入していること、6カ月間で240万件の重要情報を侵害した「公開サーバへの攻撃」、IT発展の裏側で未成年者のサイバー犯罪逮捕事例が連続して発生していることなどを紹介している。
《吉澤 亨史( Kouji Yoshizawa )》

編集部おすすめの記事

特集

調査・レポート・白書・ガイドライン アクセスランキング

  1. 1,952 社から 9,208 件の報告 ~ 2023年度 Pマーク付与事業者の個人情報取扱いにおける事故

    1,952 社から 9,208 件の報告 ~ 2023年度 Pマーク付与事業者の個人情報取扱いにおける事故

  2. ランサムウェアの種別特定やセカンドオピニオンも ~ セキュリティ企業も頼りにできる JPCERT/CC

    ランサムウェアの種別特定やセカンドオピニオンも ~ セキュリティ企業も頼りにできる JPCERT/CC

  3. 世界中の警察官が考える現在/未来の脅威「インターポール世界犯罪動向2022」公表

    世界中の警察官が考える現在/未来の脅威「インターポール世界犯罪動向2022」公表

  4. 「シャドーアクセスとは?」CSAJ が定義と課題をまとめた日本語翻訳資料公開

  5. フィッシングサイトのドメイン「top」が最多、デジタルアーツ調査

  6. 2023 年度の情報セキュリティ市場は 1 兆 4,628 億円 9.8 %成長 ~ JNSA調査

  7. 取締役や幹部への罰金 禁固 罷免 解雇 ~ サイバー攻撃後の被処罰最多は APJ 地域

  8. 「無料求人広告」無料期間終了後 高額請求、法人間のトラブル事例

  9. Proofpoint Blog 36回「身代金を払わない結果 日本のランサムウェア感染率減少? 感染率と身代金支払率 15 ヶ国調査 2024」

アクセスランキングをもっと見る

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×