株式会社シマンテックは4月26日、「インターネットセキュリティ脅威レポート第 22号(ISTR: Internet Security Threat Report, Volume 22)」を公開した。レポートでは、2016年は数百万ドルのサイバー銀行強盗や、国家が支援するグループによる米国大統領選へのあからさまな妨害工作など、これまでにない攻撃が目立ったとしている。サイバー犯罪者は、新しい種類の標的を攻撃する方法として、標的となる組織や国家を揺るがし混乱させることを目的に、政治的な破壊的攻撃を実行しており、米国大統領選やShamoonなど、いくつかの攻撃キャンペーンは成功したとみられている。また、金銭を目的とする新たな攻撃者グループは、内密の転覆工作活動への資金提供が目的である可能性を指摘している。シマンテックでは、バングラデシュ、ベトナム、エクアドル、ポーランドの銀行への攻撃に北朝鮮が関与している証拠を発見したという。またサイバー犯罪者は、PCにインストールされている一般的なスクリプト言語のPowerShellやMicrosoft Officeファイルを攻撃手段として使用しており、その理由は足跡があまり残らず、監視の目から身を隠しやすい点であるとしている。シマンテックがインターネット上に出回っているPowerShellのファイルを調べたところ、95%が悪意のあるファイルであった。さらに、メール131通に1件の割合で悪意のあるリンクや添付ファイルが含まれており、過去5年間で最多となっている。ランサムウェア攻撃数は全世界で36%増加しており、一番の標的は米国となっている。シマンテックによると、ランサムウェア被害者が身代金を支払う割合は全世界で34%であるのに対し、米国では64%が支払っている。その結果、2016年の身代金の平均額は266%上昇し、被害者1人あたりに要求される身代金は平均1,077ドルとなり、昨年から294ドル増えている。