書評「Dark Territory」 (5) 莫大な情報量と単純な真実 | ScanNetSecurity
2019.10.18(金)

書評「Dark Territory」 (5) 莫大な情報量と単純な真実

私が本書を読んでもっとも驚いたのは、予算をつけても国家のサイバー戦能力の向上と維持には、さほど役にたたないという点だ。

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ここまで見てきたように本書は、文字通り歴史を綴ったノンフィクションであり、これまで語られなかった (特に日本においては) サイバー戦争の裏側を紹介している。

技術についての説明は最小限にとどめ、その代わりに関係する人物や組織についての記述が多い。これは非常に助かる。というのは、ニュースや日本語訳された資料を見ただけでは、関係者の来歴がつかめないことが多いからだ。その人物がNSAの幹部職とサイバー軍需企業の役員を何度も務めたことがあるとか、空軍の情報関係部署出身なのかなど知ることによって見えてくれる風景は変わってくる。史的事実と関係者の情報の辞書としてとても役にたつ。

私が本書を読んでもっとも驚いたのは、予算をつけても国家のサイバー戦能力の向上と維持には、さほど役にたたないという点だ。国家におけるサイバー戦の位置づけを明確にし、それが重要であるなら能力ある人物を継続的に中枢におき、権限を与える必要がある。それなしに、予算や組織や人材開発に予算をつぎ込んでも一過性のもので終わってしまう。

《一田 和樹》

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