株式会社ラックは10月22日、同社のセキュリティ監視センター「JSOC」によるセキュリティレポート「JSOC INSIGHT vol.9」を公開した。本レポートは、同社JSOCのセキュリティアナリストによる日々の分析結果に基づき、日本におけるセキュリティインシデントの発生傾向を分析したもの。今号では、2015年4月から6月までを対象としている。同期間の重要インシデント件数は、インターネットからの攻撃によるものが287件(前四半期は107件)、内部から発生したものが400件(同349件)と、いずれも大幅に増加した。インターネットからの攻撃では、SQLインジェクションが大幅に増加している。これは、同脆弱性のあるホストが存在した顧客にくり返し攻撃が発生したためだという。また、WordPressのプラグインの脆弱性を悪用し、ファイルをアップロードする試みも無差別に行われた。ネットワーク内部から発生した重要インシデントでは、一部の顧客でマルウェア感染が継続したことに加え、Zeus/Zbotなどのインターネットバンキングの情報を狙ったマルウェア感染と考えられる通信を多く検知したためとしている。またレポートでは、注目のトピックとして「標的型攻撃によるマルウェア感染について」「HTTP.sysファイル処理の脆弱性を悪用した攻撃通信の検知について」「PHPに含まれるサービス不能の脆弱性について」を取り上げている。標的型攻撃によるマルウェア感染については、JSOCで監視中の複数の顧客で標的型攻撃によるマルウェアに感染した通信を検知し、緊急連絡を行った。これらの事例には、日本年金機構の情報漏えいで用いられたとされる「Emdivi」と呼ばれるマルウェア通信の検知も含まれていた。3月から6月中旬までは検知されなかったが、6月下旬以降は増加しているという。