EMCジャパン株式会社RSA事業本部は3月19日、同社米本社のCTOであるマシュー・マコーマック氏による「昨今のサイバー脅威に対抗する米国政府の考え方」を発表した。マシュー氏は「従来の(既知のものしか検知しない)セキュリティは受け身である」として、その理由に同社が2つの国から同時にサイバー攻撃を受けたときに使用されたマルウェアは、6時間前に作られた新種であったことを挙げた。一方で、最近では比較的シンプルなマルウェアで攻撃される企業も多く、幅広い対応が必要であるとした。同様に、IPを持つネット家電のリスクについても触れた。また、米国が直面している問題として、人材について説明した。特に、ツールに依存している企業は人のことを忘れがちであり、人材を揃えずに機器を購入しようとするケースが目立つという。文書化されたプロセスがないため、セキュリティの運用も人に依存している状況で、常に人材が不足している。政府は大学と協力して人材を育成しようとしているが、一方で現在のセキュリティに必要なのは必ずしも技術者ではないことも挙げた。マシュー氏は米政府の取り組みとして、「CyberSecurity Framework(CSF)」を紹介した。これは国全体に対するセキュリティの基本であり、セキュリティの運用が難しい中小企業においても「OK」というレベルを定めるものとしている。旧版である「800シリーズ」に対し、万一の対応についても情報を提供していることが特長。ただ、そのためには情報共有が重要になるが、それを推進するために官民連携の「National Cybersecurity and Communications Integration Center(NCCIC)」を立ち上げ、第一歩として成功しているとした。今後は、CSFをベースにコミュニティをひとつにまとめていきたいとマシュー氏は抱負を語った。ひとつの脅威に対しベンダごとに名前を付ける現状より、共通言語があれば傾向も見えやすくなる。RSAでも製品・サービスはすべてCSFにひも付けており、その基本的な概念は「情報主導型」であるとした。共通言語によるセキュリティ情報の一元化により、セキュリティ対策機器のトレーニングやチューニングの負荷を大幅に軽減できるとした。