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2017.10.23(月)

子どもが安全にスマートフォンを利用するために必要なのは時間制限、位置情報、段階的なフィルタリング機能

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 小中学生のスマートフォン利用が増加する中、子どもが安全に利用するための環境作りが注目されている。タブレット端末などのICT機器を学習ツールとして導入する学校も増えており、子どもたちの安全な利用環境とリテラシーが求められている。

◆小学生のスマホユーザー、2018年度末には144万人まで増加

 ICT総研が2015年1月、小学生の子どもを持つ親4,000名を対象に実施した調査によると、小学生の携帯電話利用者は3人に1人(32.8%)。学年別に見ると小学1年生から使い始めた子どもがもっとも多い25.9%、小学3年までに利用開始したとの回答が合計65.1%となった。

 同社の分析によると、現在小学生のフィーチャーフォン(ガラケー)利用者が27.2%、スマートフォン利用者が5.6%となっているが、2018年度末にはスマートフォンの利用者数比率が全児童数の22.5%にまで拡大するという。小学生のスマートフォン利用者数は144万人にまで増加し、安全に利用できる環境作りが求められている。

 同調査によると、小学生からスマートフォンを持たせる理由は、防犯理由がもっとも多く、「いざという時に連絡が取れるから」「GPS機能が防犯に役立つから」という回答が多かった。

 回答者のうち、スマートフォンを持たせる理由に「学習教材など、教育に活用できるから」と教育理由を挙げた親は5.9%、中学受験を予定してる子どもの親に限定すると12.9%に上る。「IT機器に慣れさせることができるから」を持たせる理由に挙げた親は9.0%、中学受験を予定してる子どもの親に限定すると12.9%となった。中学受験を予定する子どもを持つ親のほうが、教育を理由に子どもにスマートフォンを持たせる傾向があるようだ。

◆学校でのデジタル機器利用、2020年には1人1台環境に

 ICT機器の導入は教育現場でも広がっている。文部科学省は、2020年までに小学校の児童1人に1台の情報端末環境を整備する目標を掲げており、学習効果の向上だけでなく、子どもたち同士の協働的な学びを推進するための政策として注目されている。

 すでに東京都荒川区や佐賀県武雄市など、一部の地域では1人1台のタブレット端末環境が導入されており、日々の学習に利用している。現状は、私学を中心に導入例が増加しており、公立学校が後を追う形、国が設けた2020年の完全整備を目標に、今後も導入が増加していく見込みだ。

 学校での学習にデジタル機器が活用される環境が増える中、小学生の生活環境でもスマートフォンの需要が高まっていく。学習、生活両面で小学生がデジタル機器に触れる機会が増えるため、安心・安全面の充実化だけでなく、子どもたちがスマートフォンやタブレット端末を利用する上でのリテラシー向上も求められている。

◆デジタル機器を使った学習の特徴と必要性

 教育ICTコンサルタントとして、ICTを活用した教育を推進する小池幸司氏は、教育現場におけるIT機器の導入は、社会でデジタル機器が当たり前に使われている中必要不可欠だと話す。

 教育現場におけるICT機器の導入が、子どもたちの成績を伸ばすという単純なことではなく、社会に求められる思考力、それを支える基礎力と実践力を育成する上で、タブレットなどのICT機器を活用した教育の必要性は高いと小池氏は語る。これまでの知識吸収型の教育から、児童生徒自身が自ら問題を発見し、解決をしていく力を育成する必要がある現代において、情報収集などを容易にするタブレット端末などは効果的だという。

 たとえば、ICT機器はこれまで児童生徒が接することのなかった同世代以外の人たちとSNSなどを通じて触れることを可能にし、知見を得ることができるだけでなく、社会で必要となる年代の異なる人々とのコミュニケーションスキルを学ぶことができる。

 また、学校での調べ学習や、検索機能を使った情報収集にスマートフォンやタブレットが利用できる。検索結果として表示された情報を収集するだけでなく、情報の取捨選択、信憑性を見極める分析能力など、21世紀型教育に必要なリサーチスキルを身につけることができるのも、ICT機器を教育現場で活用する魅力のひとつだ。

◆小学生の期間を準備段階として捉える

 自身も小学生と中学生の子どもを持つ小池氏は、中学校に入学してから子どもにスマートフォンを与えたと話す。中学生になると、SNSなどを通じたクラス内のコミュニティーが形成され、友達とコミュニケーションをとる上で、スマートフォンを持たせないことのデメリットの方が多くなったからだと解説する。もちろんペアレンタルコントロールは設定しており、子どもとの約束事も設けているが、あくまでも大人が使うスマートフォンを与えているという。

 では、中学生で本格的にスマートフォンを子どもに持たせるに当たり、未就学児・小学生といった前段階で子どもにどのようにスマートフォンの安全な使い方を教えることができるのだろうか。

 小池氏は、スマートフォンを自転車に例えて解説する。自転車は、便利な物だからこそ、みんなが乗り方を知っている。フラフラしたまま子ども1人で路上で乗らせるのは危険であるため、親はまず補助輪を付けて自転車に慣れさせる。子どもが自転車に慣れてきたら、今度は補助輪を外して親が正しい乗り方を教える。そうして、子どもは1人で自転車に乗るようになる。

 スマートフォンも、便利なものだからこそ、子どもたちが安全に使えるよう親が教える必要があると話す。子ども向けに設計されたジュニアスマホのフィルタリング機能などは、いわば自転車の補助輪であり、未就学児や小学生がスマートフォンの使い方を安全な環境で覚えていく過程で役立つものではないかと小池氏は提案する。

 安全な環境で予めスマートフォンが広げる世界に子どもが慣れることで、学校で導入されているタブレットなどの端末を使いこなすことも容易になるだろう。また、学校外でも、スマートフォンをコミュニケーションツール、リサーチツール、アプリなどを利用した学習ツールとして安全で効果的に使うこともできる。

◆必要性を感じるのは時間制限、位置情報、段階的なフィルタリング機能

 本格的なスマートフォンを子どもに与える前段階として、小池氏が子ども向けに求めた機能は、利用時間の制限機能と位置情報だった。

 スマートフォンの利便性を理解した上で、付き合い方を学んでほしいと語る小池氏がもっとも重視したのは利用時間の制限。夜間など、子どもに使わせたくない時間の設定、1日の中で利用できる時間などの制限は、初めてスマートフォンに触れる子どもを持つ保護者にとって魅力的な機能だという。

 また、子どもの位置情報などを把握する機能も重要で、子どもの安全を把握したい保護者にとって安心感を与える機能だ。フィルタリングに関して小池氏は、子どものリテラシーに応じて段階的に解除していく機能がほしいと語る。小池氏は、子どもが興味を示し、情報収集することで接してほしいサイトがフィルタリングによってブロックされていることも多いとコメント。フィルタリング機能を親がコントロールできることも必要なようだ。

◆スマートフォンと教育、安全に利用するメリット

 学校でデジタルICT機器が普及し、日々の学習に活用されていく中、早い段階で子どもが機器に慣れ、安全に活用するためのリテラシーを身につけることは今後さらに必要性を増していくだろう。調べ学習を始め、現代社会に必要とされる能力を身につける上で、インターネットやSNSを安全で効果的に利用する方法などを早い段階で身につけることが必要とされている。

 小池氏は、危ないからスマートフォンを使わせないという選択ではなく、いずれ必ず使うものだからこそ、親が安全な環境で使わせてあげ、使い方を学ばせることが重要だと話す。そういった意味では、1月にKDDIが発売したジュニアスマホ「miraie」など、子ども向けにデザインされたスマートフォンは、一般的なスマートフォンを利用する前の「補助輪」として利用できる。

 「miraie」は、フィルタリングをはじめ、子どもの位置情報を確認できる機能や防犯ブザー、利用時間制限、アプリダウンロード制限、歩きスマホを防止する機能、子どもが使うには不適切な表現と思われる言葉のブロック機能など、子どもがスマートフォンを安全に利用するための環境が整えられている。

 防犯ブザー機能には、カメラ機能と位置情報送信機能がついており、登録したメールアドレスへ位置情報とカメラが自動で撮影した周囲の状況が自動送信されるという。また、不適切表現のブロック機能には、使用履歴を親が確認することもできるため、子どものスマートフォン上での言葉遣いを把握することができる。

 そのほか、学習に役立つアプリがダウンロードできるサービスなども合わせて提供しており、子どもと保護者のニーズに合わせた機能を提案している。

 子どもの専用のスマートフォンは、「miraie」だけでなく、NTTドコモの「スマートフォン for ジュニア2」などもある。それぞれが提供する安全機能などを比較しながら、子どもが安全に使うことができ、親が安心して渡せるスマートフォンを選びたい。

子どもとスマートフォン、安全な環境で使って学ぶメリット

《湯浅大資@リセマム》

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