OWASPは、世界に4万人のメンバーを持つ国際非営利組織で「Free to use, Free to perticipate, Free to contribute (誰でも利用・参加・貢献できる)」を理念として、200の支部が世界各地に存在し、168の研究プロジェクトが進行する。日本でのコミュニティは発達していなかったが、OWASP Japan の努力で近年急速に成長、重要ドキュメントの日本語訳も行われるようになった。今回、アジアパシフィックで開催される OWASP のカンファレンスが東京で開催される意義は大きい。
3月19日に行われた開会挨拶で、OWASP Japan 代表の岡田良太郎氏は、20の国と地域から集まった約430名の参加者に対して「脅威情報を単に共有するだけでなくどうやったらセキュアにできるのかという出口を探すカンファレンスにしたい」と抱負を語った。
OWASP Japan が2012年に実施した最初のミーティングは参加者120名、3,000円の会場使用料で借りた公民館からスタートした。その後の2年間、国内でローカルミーティングを計10回行い、のべ2,000人の参加者を集め、AppSec の東京での開催を実現した。OWASP 日本支部は現在東京と関西に存在し、福島にも近々開設される予定。
OWASP グローバルボードの Tobias Gondrom 氏は、つづくオープニングセッションで、インターネットの資源管理を行う非営利団体 ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)の調査を引用し、セキュリティの担保された自由でオープンなインターネットアクセスを提供すれば 2%の GDP 成長が見込まれることに言及し、これは新規の R&D 投資による GDP 成長に匹敵すると語り、Webアプリケーション、モバイルアプリケーションのセキュリティ改善の意義を訴えた。
《高橋 潤哉( Junya Takahashi )》