デスクトップ仮想化の将来を探る 第2回「XenDesktop(シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社)」 | ScanNetSecurity[国内最大級のサイバーセキュリティ専門ポータルサイト]
2017.12.19(火)

デスクトップ仮想化の将来を探る 第2回「XenDesktop(シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社)」

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サーバ仮想化で市場をリードするのがVMware社ならば、誰しもが認めるデスクトップ仮想化(VDI)のデファクトスタンダードはCitrix社である。同社は、1990年代からMetaFrame、Presentation Server、XenAppと続くターミナルサービスの歴史があり、デスクトップ仮想化でも先行者として確固たるシェアを持っている。

従って、DaaSについても既存サービスでは大きく市場をリードしていると言っても過言ではない。しかしながら、急速に拡大する市場であるためVMware社をはじめとして市場に参入する競合は多く、今後とも安泰であるとは限らない。

今回は、Citrix社のVDIについての姿勢、方針および戦略、製品機能について、同社マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャー 竹内裕治氏に取材した。

●Citrix社のVDIサマリ

Citrix社の販売するVDIの商品名はXenDesktopである。同社ではVDIを仕事環境そのものと捉えており、生産性の向上を目的としている。その点は明確にアプリの位置付けであったVMware社とは異なる。既存ターミナルサービスからの移行というストーリーを考えると、戦略上そう言わざるを得ないのかもしれない。

確かに、VDIのみでなくターミナルサービス(XenApp)やオフラインのローカルVDI製品があり様々なユーザ要求に対応した品揃えとなっている。端末サイドからのアプローチであることは間違いなく、その意味でユーザについての経験値は大きいと言えるだろう。市場リーダーとしての強烈な自負を感じた。

仮想デスクトップ市場は爆発しており、2011年第4半期はXenDesktopとXenAppで前年対比50%売上が増加した。

●VDIの位置付け

当然のことながらVDIをビジネスの根幹として位置付けている。XenDesktopは、ここ2~3年で急速に認知を得たが、Citrix社では実績がありコストメリットの大きいXenAppとの込みでプロモーションを行っている。実際的にこの組合せはユーザにとってメリットが大きい。現在、XenDesktopとXenAppの売上は半々とのことである。

前述のようにCitrix社の優位点はXenAppという選択肢である。ただし、XenAppはアプリを共有するためサーバ上で動かすのが難しい場合もある。従って市場がXenDesktopを志向するにつれターミナルサービスではなくアプリケーション仮想化という位置付けに移行しつつある。

VDIは戦略であるが、当然全ての環境に適している訳ではない。例えば、スマホは大量の入力に向かないのでVDIには適さない。また、タブレットは閲覧向けだがPPTには適さない。何事も使い分けが大事ということだろう。

スマホ/タブレットで特筆すべきことはXenDesktopの使い勝手(彼らはユーザエクスペリエンスと呼ぶ)である。タッチ操作をレガシー業務に適用できたり、SDKを公開してエンハンス環境を提供している。これは他社に比べて著しく進んでいる。ユーザデバイスの良さを生かすユーザ環境はさすがと言える。

ただし、考えてみるとVDIとは遠隔のWindowsにログインするシステムである。つまりWindowsにロックインされている。今のところWindowsの既存システムがあるので流行っているが、長い目で見ればWebやスマホ/タブレットのネイティブアプリに移り変わると考えられる。VMware社はその辺りを考えてアプリケーションと言っているのだろう。

Citrix社も実は気がついていて、いまどきのツールであるCloudGatewayを開発した。CloudGatewayはシングルサインオンで、Windows、Web、SaaS、モバイルアプリケーションを集約、管理する。ターミナルサービス(XenApp)やVDI(XenDesktop)もこの中で管理されることになる。

また、自社製品へのロックインは限界があると感じているのだろう。ネットワークではOpenFlow、仮想ルータではVyattaといったオープンソースが今後の主流となりつつある現状から、クラウド基盤ソフトとしてCloud.com社を買収しCloudStackをオープンソースとして提供している。CloudStackは負荷分散、ポータル、課金、自動化の機能を持つ。(Eucalyptus、CloudStack、OpenStackが市場3強)。ある意味懐が深いと言えるが、将来VDIがWebに取って換わられることを見越した布石とも考えられる。

●製品(XenDesktop)について

XenDesktopの一番のネックはコストではないかと聞いたところ、VMware社とほぼ同じ答えが返ってきた。初期コストが高いという先入観があるが、近年の高速化したネットやOS、PCを4~5年でリプレースするコスト、およびメンテナンスコストを考えると十分選択に値する、とのことである。

XenDesktopではユーザ独自の環境を提供することが可能だが、メンテナンスに多大なコストがかかる。また、ユーザごとのイメージをすべて保存しなければならないため、大容量のストレージが必要になる。そのため、リソースを共有し同一環境を提供して管理するのが主流だ。例えば、Personal vDiskは、共通のシステムイメージを全ユーザに展開すると同時に、ユーザごとのアプリケーションやデータ、カスタマイズ情報を保存しストレージコストを最大65%削減する。

Citrix社の特長は圧倒的な使い勝手のよさ(ユーザエクスペリエンス)だ。サーバの安定的運用(負荷分散、冗長)、データセンタを跨ってのネットワーク負荷分散、NetScaler、仮想アプライアンス等の豊富な機能・製品がある。

資産管理ツールはサードパーティ製品が用いられることが多い。ログ管理も同様にサードパーティ製品を利用する。Citrix社の提供するツールでできなくはないがその他の機能もあるので、とのことである。

ターゲットは大規模ユーザであり、プロバイダ/SIerがプライベートクラウドとして丸抱えするケースが多い。大きい仕掛けに向いているので、クラウドインフラ(DaaS)としてDoCoMo、ホワイトクラウド、IIJ GIO等、多くのプロバイダに採用されている。

●DaaSプロバイダの差別化要因

国内DaaSサービスの主要10社以上にXenDesktopまたはXenAppを提供しておりデファクトスタンダードと言える。VDIではMSからサービスプロバイダ向けライセンスが供給されないのが問題である。結果として利用するユーザがライセンスを購入するプライベートクラウドの形態をとっている。重要なポイントはCloudStackによりマルチテナントに対応していることである。

プロバイダのDaaS環境はどこもそれほど変わらないと思うが、プロバイダのノウハウによりアプリサービスやデータサービスをどこまで品揃えするかによる。また、ユーザ環境の全てを請負うか部分のみか、スケーラビリティとコストの関係も影響している。差別化要因は提供アプリ、モバイル環境、使いたいデバイスのサポート、オンラインストレージ辺りになるだろう。

(渡邉宏/編集部)
《ScanNetSecurity》

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