本誌Scanの編集長に上野宣氏が新たに就任したということである。なるほどと記事を読んだが、はたと気がついた。情報セキュリティ専門誌ScanNetSecurity編集長に上野宣が就任https://www.netsecurity.ne.jp/1_14800.htmlそういえば、これまで本誌には、編集長という肩書を持つ担当者は一度も存在しなかった。「新たに就任」という表現は、言い得て妙である。もともといなかったのだから、「交替」ではないわけだ。しかし、十年以上の歴史を持つ媒体に発刊以来編集長がいなかったというのもすごい話である。長らくこの媒体に寄稿させていただいている者として、上野氏の勇気を讃え、今後の活躍を願ってエールを送りたいと思う(ほんと)。そこで今回は、編集長という肩書は無かったものの、Scan誌を創刊し、媒体運営方針を確立するなど強い影響を与えた、Scanの発行会社の元社長である、セキュリティ情報界の元祖武闘派 原隆志氏にメールインタビューを行った。テーマはずばり「セキュリティ情報サービスで儲ける方法」である。なお、このコラムは、氏へのインタビューに基づくフィクションであり、登場する人物、組織、固有名詞は全て架空のものです(ということにしておかないと差し障りがありますので)。─Prisoner Langley(以下Langley):基本的なことからお話をうかがいたいのですが、セキュリティ情報サービス事業について、ざっと全体像を教えていただけますか?原隆志氏(以下、原):数字は諸般の都合で割愛します。収入の項目として代表的なものは、こんなものです。・広告収入普通のWebのバナーとか、メール広告とかです。その他にも記事広告等、いろいろなパターンがあります。「Scan Security Wire」の場合は、冠スポンサーという特殊な形態をとっています。これは、半年間を一単位として毎月固定のスポンサー料をいただく形です。そのかわりに、定常的にスポンサー告知を掲載したり、ニュースリリースを確実に掲載するなどのサービスを行います。普通に広告出すよりは、お得なサービスです。詳細は下記をご覧ください。協賛・広告のご案内 https://www.netsecurity.ne.jp/ad.htmlセキュリティというニッチな領域ですので、クライアントさんが固定化されます。双方の手間をはぶくという意味では大変有用なメニューだと思います。まあ、安い広告を人がいちいち手で売るなんて、どう計算しても頭のいいやり方じゃないんで、そうしているという話もあります。クライアントもいちいち安い広告出稿のために、営業マンと会ったりするのも面倒でしょう。広告料安いと接待もしてもらえませんしね。クライアントのホワイトペーパーを掲載して掲載料をもらうとか、ダウンロードした人のリストをパーミッションとって提供するといったサービスもあります。・有料購読収入ニッチな業界誌という位置づけだと有料化が比較的やりやすくなります。「Scan Security Wire」の場合も有料での配信を行っています。ただ、広告収入も欲しいので、無料版と有料版を用意して、無料版で部数をかせぎ、有料版で読者の質を確保するという格好になっています。有料化は、それほど簡単なことではありません。Langley:わたしもブログの有料化を試みたのですが、全然売れません。確かに有料化は難しいです。そもそも、B2Bの内容を個人向けのブログで課金するということに無理があるのかもしれません。全文読めるなら、有料化しても読みますって言ってたやつの首を絞めたいくらいですね。原:収入の項目について先に進めます。・OEMなどライセンス収入記事を他の媒体や企業に提供する商売です。「Scan Security Wire」の場合は、Yahoo! JAPANなどに記事を有料で提供しています。まあ、おまけみたいなもんですね。金額は雀の涙ですけど、ほとんどが利益になるので、うれしいものです。他に、読者をベースにして、セミナー販売、セキュリティ製品販売など付帯した商売を展開することが可能です。バックナンバーのハードコピーが1万円以上で三百冊売れたこともありました。紙の本で同じ額の純利益を出そうと思ったら、おそらく1万部以上売れないとだめでしょう。数千部しか刷らないセキュリティ関連の書籍を、汗水垂らして作っている編集者は社会的使命もしくは趣味でやっているとしか思えません。変わったところでは、※本記事は有料購読会員に全文を配信しました(取材協力:原隆志/取材・文:Prisoner Langley)【関連リンク】セキュリティコラムばかり書いているLANGLEYのブログhttp://netsecurity.blog77.fc2.com/