ADRとは、裁判外紛争解決手続のことである。といっても、何が何だかさっぱりわからないであろう。筆者もわからない。ようするに裁判以外の解決方法のことを指すらしい。分野は民事に限定され、仲裁、調停、あっせんなどがこれに当たるらしい。そう考えると民事調停とか仲裁なんかは昔から行われていたので、さほど珍しいものでもないような気がする。 ADRは、仲裁、調停、あっせんなどを行うわけだが、それを行うのが公正中立な第三者機関となる。この公正中立な機関を国が認証するのが、平成19年4月1日から施行された「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」である。 裁判のような面倒くさい手続きを経ないで迅速、柔軟な解決を期待できるADRであるが、実際に間に立ってくれる第三者機関がちゃんと公正中立に進めてくれるかどうかは、一番気になる点である。●ADR TradeSafe ADRサービス編 TradeSafeトラストマークというサービスがある。いわゆる安全、安心マーク的なものを付与する業者である。ECサイトからの申し込みを受けると所定の審査を行い、パスしたサイトにマークを付与する。このマークにより、利用者は、アクセスしたサイトがフェイクサイトではないこと、悪質な業者ではないことなどを確認することができる。 実際には、マークがあるからといって、業者を安易に信用できるわけではないのだが、ないよりはマシである。余談であるが、スパム業者にメールサーバを提供しているコンビーズのようなサイトでも、プライバシーマークやTRUSTeのマークを貼っている。あのメールマガジン配信サービスは、最先端ビジネスモデルだった!? https://www.netsecurity.ne.jp/3_13428.html 閑話休題 TradeSafeトラストマークの場合、従来のマークのサービスに加えて、下記の2つのサービスがプラスされている。・TradeSafe ADRサービス TradeSafeトラストマークをつけているサイトでショッピングをして問題が発生した場合、消費者はADRサービスを申し込むことができる。・TradeSafeあんしん補償サービス ADRサービスでも解決に至らなかった場合、最高十万円の見舞金が消費者に支払われる。 ADRサービスとあんしん補償サービスの原資は、TradeSafeトラストマークを契約しているECサイトの会費なので、消費者は1円も支払う必要がない。これはちょっとうれしい。 ただし、購入時に「TradeSafe注文情報送付同意ボックス」にチェックして、購入情報をTradeSafeにも提供しておかないといけないらしい。チェックして購入すると、その後のADRサービスやあんしん補償サービスを受けるために必要な情報を記載した「あんしんサポートメール」が送られてくるそうである。 実際のADRサービスはECネットワークという中間法人が委託を受けて行うことになっており、あっせんを中心に活動するそうである。ここはECOMの実証実験を踏まえて生まれた法人だそうであるが、実験では一番成功率の低かったあっせんを中心に据えたのはリジンジなのか、それとも経験から学んでいないかのどちらかだろう。一般社団法人 ECネットワーク http://www.ecnetwork.jp/ これからのネット取引を考える ECネットワーク http://blog.canpan.info/ecnetwork/ ちなみに、ここの代表の沢田登志子という方は個人のブログもやっていてADRやECネットワークネタもたくさんある。なかなか参考になるのであるが、失礼ながら食うに困らない人の道楽仕事だなあ、という印象があるのは筆者が偏った見方をしているからだろうか?さわだ日記 http://d.hatena.ne.jp/tosawada/ などと苦言を呈したものの、消費者に負担させずにこういうサービスを受けられることはとてもいいことだと思うし、ADR全体の認知、普及にも役立つと思う。●その他のADR その他にもADRサービスを提供している組織はあり、増加しているのではないだろうか。 中でも注目されるのは、国民生活センター紛争解決委員会である… 【執筆:Prisoner Langley】【関連記事】ADRとインターネット【前編】 https://www.netsecurity.ne.jp/7_13578.html 【関連リンク】セキュリティコラムばかり書いているLANGLEYのブログ http://netsecurity.blog77.fc2.com/ ── ※ この記事は Scan購読会員向け記事をダイジェスト掲載しました 購読会員登録案内 http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec