警察庁は9月2日、第3回となる「匿名・流動型犯罪グループによる犯罪被害対策のための技術的措置に関する有識者検討会」を開催した。
匿名・流動型犯罪グループは、実行犯の募集、犯行の指示等を、高い秘匿性を有する通信用アプリケーション(通信アプリ)を使用し、かつ、非対面で匿名により行うことが一般的であるため、犯罪者達を物理的に追いかけることは容易ではなく、「捨て駒」である実行犯を検挙したとしても、上位の指示役や次の犯行の標的を速やかに特定することは困難で、その間に新たな実行犯が補充されて犯行が継続する実態を踏まえ、刑罰規定の持つべき予防効果が十分に機能していない状況になっていると言わざるを得ないとしている。
秘匿性の高い通信アプリは、匿名・流動型犯罪グループが犯行に悪用し、警察による捜査・対策をより困難にしているという。
現行の刑事手続では、通信内容等を取得する手段として通信事業者に命じて事業者が保管・管理する情報を提供させる電磁的記録提供命令と、通信経路上の通信内容をリアルタイムで捕捉する通信傍受という2つの捜査手法が認められているが、これらの捜査手法では、強固な暗号措置が講じられた通信アプリで犯行グループがやり取りした犯罪関連通信の内容を解明することは極めて困難であることを挙げている。
同会では、匿名・流動型犯罪グループに対する新たな技術的措置として、犯罪者グループの端末から犯罪に悪用される通信アプリの通信内容等を迅速に把握し、被害防止に活用する手法(「遠隔解析」)を早急に導入することが必要であると提言している。
同提言では、「遠隔解析」は対象となる電子計算機の中で、被害防止に必要な情報がどこにどのような形式で記録されているのかが分からないという状況において、犯人への事前通知は行わずに、権限を行使する時点で当該電子計算機に記録されている電磁的記録のみを抽出して可視化し、その中から被害防止に必要な情報を選別して取得するものとして、関係する国内外の制度を参考に、その実施要件を定めるべきであるとしている。
「遠隔解析」の目的は、被害切迫者を特定し、被害を的確に防止することであるとし、対象は犯人同士の連絡や犯人から被害者への連絡に用いられた端末に限定するべきとし、取得する電磁的記録としては、被害切迫者を特定する情報や、犯罪の日時・実行者数・凶器等の情報を想定している。また、遠隔解析の過程で、取得が認められない情報を扱った場合は、その全てを消去するべきとしている。
なお、「遠隔解析」の技術的手法については、「通信事業者であっても、端末間での強固な暗号措置が講じられていれば、メッセージの閲覧等を行うことは技術的には事実上不可能である。」「遠隔解析の実施手法については、脆弱性などを使わざるを得ない場面があると思う。被害防止措置のために国民の安全を脅かしているのかと言われないような運用を担保するべき。」「遠隔解析の具体的手法については高い秘匿性が必要だが、取得した情報について、確かに犯人が持っていた対象機器から取得することができた情報である、ということを事後的に確認できることを担保していただきたい。」といった意見が寄せられている。
