英国の政府高官らは、政府が本気でサイバー攻撃を阻止したいのであれば、政府が今後採用するサイバーセキュリティ専門家には首相以上の給与を支払う必要があると考えている。
英国公務員最高執行責任者であるキャット・リトル氏は 3 月 10 日、英国の公会計委員会(PAC)に対し、サイバーセキュリティ分野の優秀な人材を引き付けるには提示している報酬が低すぎるという問題を政府は認識していると発言した。この問題は、今年初めに英国会計検査院(NAO)の報告書で主要問題のひとつとして強調されていた。
NAO の報告書は、政府が 2022 年に設定した、2025 年までに一般的なサイバー攻撃に対して「実質的な」サイバーレジリエンスを確保するという目標の達成に向けて進展がないことを痛烈に批判している。その進展を阻害しているもののひとつに、民間部門に比べてはるかに低い報酬を提示する政府の採用方針がある。
多額の報酬を支払うという考えに反対する PAC側の意見に対して、リトル氏は次のように述べた。「(最も)優秀な人材を惹き付けるためには、そうする必要があることは間違いありません… このような人材に、もっと報酬を支払わなければなりません」
「非常に加熱する市場において、彼らはとても希少で競争力の高いスキルを持つ人材であり、私たちが難しい目標を実現しようとするなら、そのためのリーダーシップと技術的専門知識が必要です」
たとえどれほどの上級職であろうと、いち公務員が首相より高い報酬を得るという考えは、英国では歴史的に容認できないとされてきた。2024 年 9 月に、元首席補佐官のスー・グレイ氏が年間 17 万ポンドの報酬を得ていたことが明らかになり、労働党内で激しい論争が勃発した。これは、当時の英国首相キール・スターマー氏の報酬より 3,000 ポンド多かった。グレイ氏は解任されるのではという憶測が飛び交う中、すぐに辞任した。
しかし、英政府がセキュリティ外注業者に資金を費やすのではなく、政府の主要部署に数名の常勤の最高情報責任者(CIO)や最高情報セキュリティ責任者(CISO)を適材適所に配置することに資金を費やした方が良いことに徐々に気づき始めている中、この考え方はじきに変わっていくだろう。
リトル氏は、最大限の効果を得るために数名のサイバーセキュリティ担当高官を雇用し、政府全体に戦略的に配置する可能性について言及した。
リトル氏はまた、高度なスキルを持つサイバーセキュリティの専門家が、たとえば同等の役職の報道官と同じ給与で公務員になることはないという現実を明らかにした後、近年導入されたデジタル専用の給与体系についても強調した。