独立行政法人情報処理推進機構(IPA)および一般社団法人JPCERT コーディネーションセンター(JPCERT/CC)は9月12日、OpenSSLのPOLY1305 MAC実装におけるWindows上のXMMレジスタが破損する問題(Security Advisory [8th September 2023])について「Japan Vulnerability Notes(JVN)」で発表した。影響を受けるシステムは以下の通り。
OpenSSL 1.1.1から1.1.1v
OpenSSL 3.0.0から3.0.10
OpenSSL 3.1.0から3.1.2
※OpenSSL 1.0.2は本脆弱性の影響を受けない。
OpenSSLのPOLY1305 MAC実装には、64バイトを超えるデータのMACを計算するときに、Windows 64プラットフォーム上の不揮発性XMMレジスタの内容を保存しないため、呼び出し元に戻る前にすべてのXMMレジスタは以前の内容に復元されずゼロに設定されるため、呼び出し側アプリケーションに様々な影響を及ぼす可能性がある。
呼び出し側アプリケーションが不揮発性XMMレジスタの内容にどの程度依存しているかで影響は異なるが、アプリケーションに依存する計算結果が不正確になったりサービス運用妨害(DoS)状態にされることが想定される。
OpenSSL Project では9月12日現在、深刻度が低であるため、本脆弱性の修正のみを目的とした修正を提供しておらず、OpenSSL gitリポジトリで、以下のcommitを提供している。次回リリースで今回のパッチを反映予定。
commit 4bfac447(3.1系ユーザ向け)
commit 6754de4a(3.0系ユーザ向け)
なお、本脆弱性を修正した OpenSSL 1.1.1w をリリースしている。
また下記のように、環境変数OPENSSL_ia32capを設定することで、実行時にAVX512-IFMA命令のサポートを無効にできる。
OPENSSL_ia32cap=:~0x200000