RocketMQ において権限の検証不備によりネームサーバに任意のファイルが作成可能となる脆弱性(Scan Tech Report) | ScanNetSecurity
2024.05.09(木)

RocketMQ において権限の検証不備によりネームサーバに任意のファイルが作成可能となる脆弱性(Scan Tech Report)

2023 年 7 月に、データ処理ソフトウェアである RocketMQ に、ネームサーバ上に任意のファイルが作成可能となる脆弱性が報告されています。

脆弱性と脅威
rocketmq.apache.org
◆概要
 2023 年 7 月に、データ処理ソフトウェアである RocketMQ に、ネームサーバ上に任意のファイルが作成可能となる脆弱性が報告されています。脆弱性の悪用により、ネームサーバへの侵入につながる可能性があります。ソフトウェアのアップデートやアクセス制限により対策してください。

◆分析者コメント
 脆弱性は RocketMQ のネームサーバの API を使用するための TCP ポートにアクセスできる状況であれば、容易に悪用可能です。RocketMQ のネームサーバの実行権限に応じて、cron ファイルや SSH の公開鍵設定の制御が可能となるため、当該脆弱性を悪用した侵入は可能性として考えられます。

◆深刻度(CVSS)
[CVSS v3.1]
9.8
https://nvd.nist.gov/vuln-metrics/cvss/v3-calculator?name=CVE-2023-37582&vector=AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H&version=3.1&source=NIST

◆影響を受けるソフトウェア
 以下のバージョンの RocketMQ が当該脆弱性の影響を受けます。

* バージョン 4.9.6 およびそれよりも古いバージョン
* バージョン 5.0.0 から 5.1.1 までのバージョン


◆解説
 データ処理ソフトウェアとして利用されている RocketMQ に、遠隔からの任意のコード実行につながる、任意のファイル書き込みの脆弱性が報告されています。

 脆弱性は、RocketMQ で構築したサーバネットワーク系を管理する役割であるネームサーバの処理に存在します。脆弱なバージョンの RocketMQ では、設定更新要求元の権限を十分に検証しないため、許可されていないユーザからの設定変更要求を受け付けてしまいます。設定変更により、RocketMQ の実行権限で任意の場所にファイルが作成可能となるため、OS の設定などに関するファイルを巧妙に上書きすることで、ネームサーバへの侵入が可能になる可能性があります。

◆対策
 RocketMQ のバージョンを脆弱性の影響を受けないバージョンにアップデートしてください。

◆関連情報
[1] OpenWall
  http://www.openwall.com/lists/oss-security/2023/07/12/1
[2] Apache 財団
  https://lists.apache.org/thread/m614czxtpvlztd7mfgcs2xcsg36rdbnc
[3] National Vulnerability Database (NVD)
  https://nvd.nist.gov/vuln/detail/CVE-2023-37582
[4] CVE Mitre
  https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2023-37582

◆エクスプロイト
 以下の Web サイトにて、当該脆弱性の悪用による任意のファイル作成を試みるエクスプロイトコードが公開されています。

  GitHub - Malayke/CVE-2023-37582_EXPLOIT
  https://github.com/Malayke/CVE-2023-37582_EXPLOIT/blob/main/CVE-2023-37582.py

#--- で始まる行は執筆者によるコメントです。

《株式会社ラック デジタルペンテスト部》

編集部おすすめの記事

特集

脆弱性と脅威 アクセスランキング

  1. PuTTY SSH クライアントの ECDSA 署名処理の実装に脆弱性

    PuTTY SSH クライアントの ECDSA 署名処理の実装に脆弱性

  2. TvRock にサービス運用妨害(DoS)と CSRF の脆弱性

    TvRock にサービス運用妨害(DoS)と CSRF の脆弱性

  3. データスコープ社製の顔認証カメラに脆弱性

    データスコープ社製の顔認証カメラに脆弱性

  4. 「Pokemon GO」で身元バレの可能性、個人情報の管理に注意

  5. 「読売新聞オンライン」の偽サイトに注意を呼びかけ、SNSや複数サイトで広告を確認

  6. JPRS、PowerDNS Recursor の DoS 攻撃が可能になる脆弱性に注意喚起

  7. スマートフォンアプリ「Lemon8」にアクセス制限不備の脆弱性

  8. バッファロー製無線 LAN ルータに複数の脆弱性

  9. Android アプリ「ABEMA(アベマ)」にアクセス制限不備の脆弱性

  10. Proofpoint Blog 26回「世界で最もランサムウェア身代金を支払わない国ニッポン」

アクセスランキングをもっと見る

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×