文科省、小中高向け生成 AI 利用ガイドライン作成 | ScanNetSecurity
2024.07.24(水)

文科省、小中高向け生成 AI 利用ガイドライン作成

部科学省は、「『初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン』の作成について」と題する通知を、各教育委員会、各都道府県知事、附属学校を置く各国公立大学などに向けて発表した。

製品・サービス・業界動向
生成AI活用の適否に関する暫定的な考え方

 文部科学省は7月4日、「『初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン』の作成について」と題する通知を、各教育委員会、各都道府県知事、附属学校を置く各国公立大学などに向けて発表した。

 小中高の児童生徒を対象にしたガイドラインではあるが企業等の利用にも一定の参考になるだろう。

 この「暫定的なガイドライン」は、主に対話型の文章生成AIについて、学校関係者が現時点での活用の適否を判断する際の参考資料となるもの。今後も「広島AIプロセス」に基づくさまざまなルール作りの進展や科学的知見の蓄積などを踏まえて、機動的に改訂を行う予定としている。なお、「長期休暇中の課題等について」とする考え方も示した。

 対話型生成AIには、ChatGPTやBing Chat、Bardなどがあり、あたかも人間と自然に会話しているかのような応答が可能であり、文章作成、翻訳等の素案作成、ブレインストーミングの壁打ち相手など、民間企業等では多岐にわたる活用が広まりつつある。

 これらのAIは、あらかじめ膨大な量の情報から深層学習によって構築した大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)に基づき、ある単語や文章の次に来る単語や文章を推測し、「統計的にそれらしい応答」を生成する。ただし、回答に誤りが含まれる可能性が常にあり、時には事実と全く異なる内容や、文脈と無関係な内容などが出力されることもある。

 対話型生成AIを使いこなすには、指示文(プロンプト)への習熟が必要となるほか、回答に誤りを含むことがあり、「参考の一つに過ぎない」ことを十分に認識し、最後は自分で判断することが基本姿勢となる。また、AIに自我や人格はなく、あくまでも人間が開発した道具であることを認識する必要がある。

 これらの特性を踏まえ、文部科学省として生成AIの教育利用の方向性として、次を挙げている。

1:現時点では活用が有効な場面を検証しつつ、限定的な利用から始めることが適切である。生成AIを取り巻く懸念やリスクに十分な対策を講じることができる一部の学校において、個人情報保護やセキュリティ、著作権等に十分に留意しつつ、パイロット的な取組を進め、成果・課題を十分に検証し、今後の更なる議論に資することが必要である。

2:その一方、学校外で使われる可能性を踏まえ、全ての学校で、情報の真偽を確かめること(いわゆるファクトチェック)の習慣付けも含め、情報活用能力を育む教育活動を一層充実させ、AI時代に必要な資質・能力の向上を図る必要がある。

3:教員研修や校務での適切な活用に向けた取組を推進し、教師のAIリテラシー向上や働き方改革に繋げる必要がある。

 また、生成AI活用の適否に関する暫定的な考え方として、適切でないと考えられる例と、活用が考えられる例を紹介している。いずれも、企業利用の参考になりそうである。

・適切でないと考えられる例
1:生成AI自体の性質やメリット・デメリットに関する学習を十分に行っていないなど、情報モラルを含む情報活用能力が十分育成されていない段階において、自由に使わせること

2:各種コンクールの作品やレポート・小論文などについて、生成AIによる生成物をそのまま自己の成果物として応募・提出すること

3:詩や俳句の創作、音楽・美術等の表現・鑑賞など子供の感性や独創性を発揮させたい場面、初発の感想を求める場面などで最初から安易に使わせること

4:テーマに基づき調べる場面などで、教科書等の質の担保された教材を用いる前に安易に使わせること

5:教師が正確な知識に基づきコメント・評価すべき場面で、教師の代わりに安易に生成AIから生徒に対し回答させること

6:定期考査や小テストなどで子供達に使わせること

7:児童生徒の学習評価を、教師がAIからの出力のみをもって行うこと

8:教師が専門性を発揮し、人間的な触れ合いの中で行うべき教育指導を実施せずに、安易に生成AIに相談させること

・活用が考えられる例
1:情報モラル教育の一環として、教師が生成AIが生成する誤りを含む回答を教材として使用し、その性質や限界等を生徒に気付かせること。

2:生成AIをめぐる社会的論議について生徒自身が主体的に考え、議論する過程で、その素材として活用させること

3:グループの考えをまとめたり、アイデアを出す活動の途中段階で、生徒同士で一定の議論やまとめをした上で、足りない視点を見つけ議論を深める目的で活用させること

4:英会話の相手として活用したり、より自然な英語表現への改善や一人一人の興味関心に応じた単語リストや例文リストの作成に活用させること、外国人児童生徒等の日本語学習のために活用させること

5:生成AIの活用方法を学ぶ目的で、自ら作った文章を生成AIに修正させたものを「たたき台」として、自分なりに何度も推敲して、より良い文章として修正した過程・結果をワープロソフトの校閲機能を使って提出させること

6:発展的な学習として、生成AIを用いた高度なプログラミングを行わせること

7:生成AIを活用した問題発見・課題解決能力を積極的に評価する観点からパフォーマンステストを行うこと

《吉澤 亨史( Kouji Yoshizawa )》

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