「Smishsmash」とは、SMS を利用した 2FA をバイパスする攻撃手法のこと。セキュリティの専門家でありハッカーでもあるトーマス・オロフソン氏、マイケル・ビストロム氏が命名した。
OSINT による標的のアカウント情報や電話番号によって、スミッシング(スマートフォンの SMS を利用したフィッシング)を行う攻撃のことだ。攻撃にはバーナーフォン(通信会社が通信記録を解析しても足がつきにくい使い捨て端末)が用いられる。
昨夏開催された BlackHat USA 2022 で、トーマスとマイケルによる Smishsmash の攻撃デモが実演されるセッションがあった。BlackHat の Breifingsは、DEFCON よりもフォーマルなものが多くモデレートされているが、BlackHat でもハッキングデモの発表は行われる。このふたりの講演がまさにそれだった。
■SMSの2FAは終わった
プレゼンでは、トークのメインはトーマスが担う。インテルオタクでプロセッサを集めるのが趣味というマイケルは主にハッキングデモ担当だ。マイケルはバーナーフォンとしてソニーエリクソンの古い端末とノキア N900 をデモのために用意した。ハッキングに愛用していた人も多いのではないだろうか。現在は入手困難な端末だが「安心してほしい。本日のデモは最新のスマートフォンでも問題なく機能する」とはトーマスの弁だ。彼のトークは続く。
「たぶんみんなは面倒な話は聞きたくないだろう。今回の発表をわかりやすく言うと、“SMS による 2FA 認証は終わった” ということだ。もちろん SMS の詐称は造作もないことはみんなも知っている。だが、スミッシングはいまでも有効なんだ。