「ワクワクするかけ算」~KCCSセキュリティ技術者集団と統合した新生エムオーテックスが描く未来 | ScanNetSecurity
2022.12.10(土)

「ワクワクするかけ算」~KCCSセキュリティ技術者集団と統合した新生エムオーテックスが描く未来

いったいここからどんな化学反応が起こるのか? 「先が見える退屈な足し算」が「先の見えないワクワクするかけ算」に変わった瞬間でもあった。

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「いつか来ると思っていた話ですが、いよいよかと思いました」

 エムオーテックス株式会社 経営企画本部 本部長 プロダクトマネージャー 中本 琢也 氏は、今春、同社が行った重大な発表についての自身の思いを淡々とそう語った。

 エムオーテックスは 1990 年創業。IT資産管理・情報漏洩対策ソフトの LanScope Cat(現在は LANSCOPE エンドポイントマネージャー オンプレミス版)をフラッグシップとして、PC 等のハードウェアの棚卸に始まり、PC本体の次はそこにインストールされたソフトウェアのライセンスやバージョン管理を、さらにハードディスクに保存された個人情報や知財保護と、企業の IT資産を管理し、さまざまな脅威から保護することで、まさに日本企業の IT利活用を縁の下の力持ちとして支えてきた。

 最近では、かわいらしいキジトラの子猫とイケメン俳優がいちゃいちゃするという、(もし読者が猫好きなら)夢のようなリモートワーク風景を描いた、同社のテレビCM を見たことがある読者もいるかもしれない。

 エムオーテックスの強みは「安定」そして「実績」。1996 年の LanScope Cat 発売以降、時代のニーズに適合しながら成長を続け、現在約 2 万社以上(※) の企業が利用している。驚くことにユーザーの継続率を公表しており、その数なんと 93 %(※) だという。 (※:エムオーテックス調べ)

 LanScope Cat はシステムログではなく、ユーザーの操作にフォーカスしたログ収集と分析を行うため、データ容量が比較的コンパクトであるところが特長のひとつ。また、ユーザー操作に特化していることから内部不正対策にも強く、株式上場の際には、幹事となる監査法人が上場企業に推奨するソフトとしても業界で知られている。2012 年、エムオーテックスは京セラグループの京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)にジョインし財務基盤をより強固なものにし、近年は外部脅威への対策機能を強化していた。

 冒頭に書いた、エムオーテックスが今春行った重大発表とは、親会社である KCCS のセキュリティ事業のチームをエムオーテックスに統合するという計画のことだった。2 月 22 日に発表された。

 ここ数年セキュリティ業界では、M&A 等の事業統合や買収が相次いで発表されている。これは、近年グローバルレベルでビジネスのデジタル化と DX が進んでおり、セキュリティはいまや後付けのひとつの機能ではなく、インフラとしての役割が期待されるようになってきたことが理由のひとつだ。

 インフラとしての安定性には盤石な財務基盤が不可欠だから、M&A や統合によって、より堅固な財務基盤を確立することができる。他にも、アンチウイルスベンダーが EDR のベンチャーを買収するような、製品やサービスのポートフォリオの拡充や完成など、足し算的な目的もある。これらの目的は互いに表裏一体であることも多い。

 だが、KCCS のセキュリティチームとエムオーテックスの統合は、これらの典型的な事業統合や M&A のパターンに必ずしも当てはまらないという点で、ちょっとした驚きを禁じえないものだった。

 たとえば脆弱性診断の実施件数や実績に関して言えば、間違いなく KCCS は LAC や BBSec 等と並んで国内ベスト 3 、あるいはベスト5 に入る押しも押されぬ診断大手企業である。その技術者集団が国内で多数使われているエンドポイントセキュリティソフトとひとつになるのだ。こんな組み合わせはかつてなかったし、おそらくこれからもないだろう。

 IT資産という企業の内部と、サイバー攻撃の最新動向という企業の外部、この双方に高い解像度で目が利く能力を持つ国産セキュリティベンダーというのは意外に少ない。これはいい意味で野心的、実験的縁組と言える。

 ここに至るまできっと、多様な選択肢が検討されたに違いないと思う。しかしとにかく、別の診断大手と統合されるという、やる前から結果が見えるような、退屈な足し算の手を打たなかったことには拍手を送りたい。いったいここからどんな化学反応が起こるのか? 「先が見える退屈な足し算」が「先の見えないワクワクするかけ算」に変わった瞬間でもあった。

 「いつか来ると思っていた」という中本氏は、エムオーテックス側の事業統合の責任者に抜擢された。中本氏は、とりわけ気を遣ったことのひとつとして「ウェルカム感」という言葉を挙げた。自身が一度、事業統合「される側」を経験しており、その気持ちをよく知っているからこその思いだった。

 新卒でエムオーテックスに入社したプロパーの中本氏にとって、エムオーテックスが KCCS にジョインしたことは、当時決して小さくない出来事だった。あれから 10 年。中本氏は、自身も製作に関わって「ウェルカム動画」を作成したという。

 うっかり取材で聞き忘れたのだが、統合の発表を「 2 月 22 日」に行ったのは、あるいは数字の「 2(ニ)」を「笑み」に見立て、「一年で一番笑顔の多い日」に発表するという、中本氏や他のスタッフの心配りだった可能性もあると、こうして原稿をまとめていて気がついた。財務や契約、人事労務など、事業統合のハードな実務をそつなくさばきつつ、そういう細部にまで目が届く人物であることが取材で伝わってきた。

 何しろ中本氏は、エムオーテックスでプロダクトマネージャーとして開発責任者を務めるかたわら、エムオーテックスの情報システム部のリーダーとして、コロナ禍のときにはテレワーク体制を全社に導入し、あげく CSIRT構築の旗振りも行い、現在は MOTEX-CSIRT のリーダーも務めているという。まさに「縁の下の力持ち of 縁の下の力持ち」、「ミスター ベースボール」という言葉があるが、彼こそ「ミスター エムオーテックス」である。

「エムオーテックスには LANSCOPE が集めたログという具材がたくさんありました。そこに KCCS のセキュリティ技術者集団という最高の料理人が来ていただけたことで、知識と経験そしてセンスをもとに具材に味付け、調理してくれることで、最高の料理が出来上がると思います」

 取材で語ったこんな言葉も、中本氏だからこそ実感と説得力が生まれる。

 どんな化学反応が起こるのか、具体例を挙げれば、LANSCOPE のログを分析することで Emotet を早期に検知するロジックの調査が、エムオーテックスと元KCCS の技術者との共同で既に開始しているという。

 エムオーテックス製品のユーザー企業は幸せである。既にこれまでもそうだったのだろうが、今回の事業統合は、贔屓にしていたチームにすごい技術を持つ選手が異分野から合流してきたようなものだ。「IT資産管理」「診断」「コンサル」いずれの領域においても、一味違う付加価値をこれから日本市場にもたらす可能性は少なくないだろう。

 KCCS のセキュリティチームと統合してパワーアップした新生エムオーテックスの、セキュリティソリューション全体を紹介する初めての講演になる Security Days Fall 2022 の今回の中本氏のセッション「変化する働く環境に幅広く対応!進化したセキュリティソリューションをご紹介」は、エムオーテックスのユーザー企業以外にとっても、要注目であり必見である。

10.6(木) 11:30-12:10 | RoomA
変化する働く環境に幅広く対応!進化したセキュリティソリューションをご紹介
エムオーテックス株式会社
経営企画本部 本部長 プロダクトマネージャー 中本 琢也 氏

《高橋 潤哉( Junya Takahashi )》

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