通信の秘密と公共の福祉(治安維持)は永遠に釣り合うことがない。極端にどちらかに寄ればいずれにせよ国民は不幸になるからだ。常に揺り返しながらバランスをとるしかない。
しかも、そのバランスが正解とも限らない。たとえば人権先進国と言われる欧米でも対テロ名目ならば通信の秘密やプライバシーなどの人権が強く制限される現実がある。バランスの基準は土地の文化や宗教によって変わるし時代とともに変わる。
2020 年代、各国の通信の秘密と法執行機関の捜査の関係はどうなっているのだろうか。CODE BLUE 2021 で台湾の研究チームがこの問題について講演を行った。主だったメッセンジャーアプリの暗号化の状況と、台湾、ドイツ、日本、オーストラリア、米国についてプロバイダー通信記録の当局への提供に関する規制や法律について概要をまとめたものだ。