警察庁は4月7日、「令和3年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」を公表した。
同庁によると、令和3(2021)年中のサイバー犯罪の検挙件数は過去最多の12,209件で、ランサムウェアによる被害の拡大や、不正アクセスによる情報流出、国家を背景に持つサイバー攻撃集団によるサイバー攻撃が判明するなど、サイバー空間をめぐる脅威は、極めて深刻な情勢が続いているという。
サイバー攻撃で国家レベルの関与が明らかとなった事例としては、4月の宇宙航空研究開発機構(JAXA)をはじめとする国内企業等へのサイバー攻撃を実行した集団の背景に、中国人民解放軍第61419部隊が関与している可能性や、12月の中国人民解放軍関係者と推定される人物からの指示で日本製法人版ウイルス対策ソフトの年間使用権の不正取得を試みた者を特定し、捜査で中国人民解放軍が日本に対する各種の情報収集を実行している可能性が判明している。
英国・米国等は7月に、サイバー攻撃集団「APT40」について中国を非難する声明を発表し、日本でも、APT40は中国政府を背景に持つ可能性が高いとの評価に基づく外務報道官談話を発表している。
同庁が国内で検知したサイバー空間における探索行為等とみられるアクセス件数も増加しており、内訳を分析したところ、アクセス件数の大半が海外からのもので、引き続き海外からのサイバー攻撃等に係る脅威が高まっていると指摘している。