IDC Japan 株式会社は1月7日、2021年9月末時点の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響を考慮した国内IT市場予測のアップデートを発表した。
同調査によると2021年から2025年の国内のIT市場は、2021年5月に発行した前回レポート「国内IT市場 産業分野別/従業員規模別/年商規模別予測、2021年~2025年:2021年3月末時点のCOVID-19による影響を考慮」から、2020年は0.7ポイント改善し前年比1.5%減の18兆2,518億円の実績に、2021年は1.5ポイント改善となり前年比4.2%増の19兆234億円と予測している。
同調査では、新型コロナウイルス感染症によるテレワークや各種サービスのオンライン化による非接触の定着によって、通信分野がIT支出を牽引しているが、有効なワクチンの国民への広い投与や治療薬の開発が進むまでは、予断を許さない状況が続くとみている。
製品別では、国内通信事業者の携帯電話通信料金値下げによるスマートフォンの買い替え需要、通信インフラの増強、クラウド環境への移行、サブスクリプションビジネスの広がりによるソフトウェアおよびサービスの成長でIT市場が回復している。
産業分野別では、新型コロナウイルス感染症の影響による移動抑制が継続する運輸分野を除く全ての産業分野でプラス成長に回復すると予測しており、携帯電話料金値下げに起因するスマートフォンの買い替えによる消費者、GIGAスクール構想2年目に入りICT活用に向けたインフラやソフトウェアの整備が進む教育、各種ソリューションの基盤となるテクノロジーを提供する情報サービスが2021年のIT市場成長を牽引するとしている。
同調査では、COVID-19のワクチンの接種が進んだことで、2021年に経済成長率は2.3%のプラス成長に転じ、海外経済の復調と政府の景気刺激策で下支えされるが、回復ペースが緩やかなため、経済活動がCOVID-19の感染拡大以前の水準に回復するのは2023年以降になることを前提に作成している。
2020年から2025年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は3.2%、2025年の国内IT市場規模は21兆3,539億円と予測しているが、COVID-19の今後の状況で予測を大きく見直す可能性がある。