サイバー時代に開花、ロシアの選挙妨害戦術の長い歴史 | ScanNetSecurity
2024.04.27(土)

サイバー時代に開花、ロシアの選挙妨害戦術の長い歴史

ブーズ・アレン・ハミルトン氏が、ロシアがこれまでにどんな国に選挙介入を行ってきたかの分析結果を発表した。

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 サイバー攻撃は、今日の選挙戦における最大の脅威と言ってもいいかもしれない。各国の大統領選や首長選挙では、候補者のみならず選挙管理委員会や行政機関もサイバー攻撃や国家支援型の妨害工作に目を光らせる必要がある。

 選挙関連の諜報活動・情報戦というと、中国とロシアで決まりだ。アメリカやイスラエルを始めとして西側諸国およびファイブアイズ(米国、英国、カナダ、豪州、ニュージーランド)がそのような活動をしていないわけではないが、ことサイバー空間においては中露の存在感は無視できない。

 ソビエト社会主義や共産圏の政治・思想を研究する「クレムリノロジー:Kremlinology」なる学問もある。国際関係学で選挙や外交を研究する中、サイバー脅威インテリジェンスの専門家になったブーズ・アレン・ハミルトン氏が、ロシアがこれまでにどんな国に選挙介入を行ってきたかの分析結果を発表した。発表は昨夏 Blackhat USA 2020 でなされたもの。第 49 回衆議院議員総選挙を控える日本で、その内容を蔵出しでお伝えしよう。

●ロシアの対米選挙工作は 1970 年代から

 ハミルトン氏によれば、ロシアで選挙に関連した諜報活動を担うのは GRU という組織だ。軍部に所属し軍事的なスパイ活動を展開する。ロシアには軍事教条(ドクトリン)がある。ドクトリンの基づくスパイ活動や工作活動は、1920 年代、ソビエト時代からのものだ。GRU のサイバー活動もこれに準ずるので、彼らの作戦、戦術、標的、タイミング、目的などは軍事教条で説明できるという。

 選挙に関する工作は「敵対する脅威の無力化」を達成するためだとハミルトン氏はいう。

 1976 年のアメリカ大統領選挙では、民主党候補の一人、ヘンリー・スクープ・ジャクソン上院議員が GRU の情報戦を受けている。この選挙では最終的に民主党のジミー・カーター氏が大統領に当選しているが、ジャクソン議員は民主党の中でも反ソビエト連邦(現ロシア)派で KGB もマークしていた人物だ。
《中尾 真二( Shinji Nakao )》

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