改ざんといえば「hackedby」などと書かれたドクロのイラストを Web ページに貼り付けるような、世界中の中二病の人たちの微笑ましい行動を思い浮かべるかもしれないが、それも今は昔、そもそも改ざんされたと気がつかれるような改ざんは行われなくなった。ユーザーも、そして管理者すら気づかないまま改ざんが行われ、クレデンシャルが抜き去られる。
そして、改ざん可能なカモサイトを検索するテクノロジーが飛躍的に進化しているという。脆弱性放置サイトを検索する Google のようなサービスを、攻撃者が開発し走らせている。
ドアに鍵がかかっていないことが「たまたま」見つかって空き巣に入られるのではない。カギをかけ忘れたドアがないかどうか、自動でマンション一棟の数千戸のドアを一気にチェックする。そんな Web クローラーが、世界中を 24 時間、今この原稿を書いている/あなたが読んでいる、この瞬間大量に走り回っている。疲れ知らずの空き巣ボットだ。
サイバー攻撃は、不運に見舞われて偶然遭遇する悪天候ではない。放置すれば不運幸運に関わらず必然的に行われる、すべての Web サイトに降り注ぐ雨である。
家のたとえを用いたが Web サイトは住宅ではない。住宅ならきちんと建築すればふつう雨漏りは起こらない。たとえ老朽化しても雨漏りを防ぐ修理をすれば効果がある。しかし Web サイトは、日々新しい雨漏りの穴(脆弱性)が生まれるのだ。
しかし 99 %の Web 改ざんは「脆弱性放置サイト検索ボット」に見つかってしまうことで攻撃される。だから見つからないように隠れることに大きい意味がある。多くの Web サイトは、特別な知的財産や個人情報、金融資産を保有しているわけではない。バイネームではなくノーネームなのだ。99 %のノーネームの Web サイトにとって、頭を隠して、お尻を隠して、しっかりと隠れおおせれば、被害を回避することができる。