一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2月9日、企業のIT投資・IT戦略などの動向を調べる「企業 IT 動向調査 2021」を実施、IT組織・人材に関する速報値を発表した。同調査は、経済産業省商務情報政策局の監修を受け、JUASがITユーザー企業のIT動向を把握することを目的に1994年度から継続して実施している調査。2020年9月11日から10月27日に、東証上場企業とそれに準じる企業4,508社を対象に、各社のIT部門長に調査依頼状を送付し、Web アンケートで1,146 社から回答を得た。正式なデータや分析結果については、ダイジェスト版と詳細な分析結果を掲載したダウンロード版を2021年4月に公開予定。同調査によると、新型コロナ禍を経てIT部門・情報子会社について「大きく重要度が増した」が12.6%、「重要度が増した」が48.1%で、あわせて6割強の企業で重要度が増したと回答している。また、新型コロナ禍前後でIT組織において重視される機能・能力について、新型コロナ禍前と新型コロナ対応時で比較すると「プロジェクト管理(計画、およびコスト・納期・品質の管理)」がマイナス12.2ポイント、「ITコスト低減に向けた企画・推進」がマイナス9.2 ポイント、「ITを用いた業務の改善」がマイナス7.0 ポイントと低下する一方で、「情報セキュリティ対応」が8.0 ポイント、「ITの活用面での外部の企業との連携」が6.9 ポイント、「新技術の探索・評価」が6.2 ポイントと増加、新型コロナ対応時には、通常業務の比率を一旦低下させ、新型コロナ対策へシフトした姿が浮き彫りになっている。さらに、新型コロナ禍前と今後で比較すると、重視される機能・能力として低下しているのは「ITを用いた業務の改善」がマイナス16.5 ポイント、「システム運用管理(安定化、運用状況管理)」がマイナス13.3 ポイント、「IT コスト低減に向けた企画・推進」がマイナス10.8 ポイント、「プロジェクト管理(計画、およびコスト・納期・品質の管理)」がマイナス9.0 ポイントとなる一方、「ITを用いたビジネスモデルの企画・推進」が15.3 ポイント、「IT 人材の採用・育成」が12.8 ポイントと大きく伸びており、従来型のIT組織の機能である業務改善やシステム運用管理、コスト低減を低下させ、ビジネスのデジタル化に向けた機能にシフトしつつ、そのための人材確保を重視している姿がみえている。