独立行政法人情報処理推進機構(IPA)および一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)は8月20日、トレーラーとトラクターヘッド間の電力線通信ネットワークにおける情報漏えいの脆弱性について「Japan Vulnerability Notes(JVN)」で発表した。影響を受けるのは、トレーラーとトラクターヘッド間との通信に電力線通信を使用し、PLC4TRUCKSなどにより実装されているネットワークシステム。トレーラーとトラクターヘッド間には、アンチロックブレーキシステム(ABS)の誤作動を通知するなどの目的で電力線通信の規格SAE J2497に基づくPLC4TRUCKSと呼ばれるプロトコルで通信を行うネットワークが実装されているが、この通信内容が近距離から傍受できるとする調査結果が公表されている。報告者によると、通信を伝達する電力線が送信アンテナの役割を果たすために、トレーラーから約1.8mから2.4m離れた場所で電力線からの信号をソフトウェア無線(SDR)で受信し通信内容を取得できたとのことで、ある程度の近距離にいる第三者により、トレーラーで使用されている電力線通信上の通信内容を取得される可能性がある。現在、本脆弱性に対する明確な対策は示されておらず、CISAでは本脆弱性の影響を緩和するために、トレーラーの積載量計測、ABS、テレマティクスで用いる電力線通信ネットワークの機密性を確認することを推奨している。