独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は2月25日、「情報システムの障害状況 2019年後半データ」を公開した。これはIPAが蓄積している、社会に影響を与え全国紙等に報道された情報システムの障害情報を、半年ごとに取りまとめ公開しているもの。今回は、「2019年後半の概況」「消費税増税に伴うシステム障害の状況」「共同利用型サービスの問題」「災害時の情報伝達」「むすび」で構成されている。2019年7月から12月の間に報道された情報システムの障害は89件、月平均14.8件と高い水準となった。このうち消費税の増税に伴うシステムの障害が29件を占めた。決済システムに関連する障害が9件、クラウドサービスをはじめとする共同利用型システムの障害が11件となっているが、今期障害が多数発生した特別の事情はうかがわれず、急増の原因は不明としている。消費税増税に伴うシステム障害では、今回は単に税率を8%から10%に引き上げるだけでなく、軽減税率やキャッシュレス決済によるポイント還元などの複雑な制度が同時に導入されており、システムの改修も前回の増税時よりも複雑で規模も大きくなったとみている。共同利用型サービスの問題では、8月にAmazonのAWSに大規模障害が発生し、「PayPay」やNTTドコモのシェアサイクルサービス、freeeが提供する会計サービスをはじめ、60以上のサービスに影響が及んだ。原因はサーバのオーバーヒートで、復旧には仮想サーバに約5時間、データベースに約7時間半を要しただけでなく、各企業でサービスの復旧が必要となった。これ以外にもクラウドサービスで複数の大規模障害が発生した。