CrowdStrike Blog:CrowdStrike のモバイル脅威レポート、組織の保護に役立つ傾向と推奨事項
CrowdStrikeの最新レポートでは、モバイルデバイスを脅かすいくつかの脅威を詳細に分析し、組織が自社のデータとネットワークをモバイル脅威から守るための推奨事項を紹介しています。
国際
海外情報
CrowdStrike のモバイル脅威レポートでは、世界中でモバイルデバイスの普及が急速に進んでいるために、リスク低減への対策の緊急性がいかに高まっているかについて詳しく説明しています。中南米など一部の地域では、ビジネスでもプライベートでもメールアクセス、バンキングサービス、認証などでモバイルデバイスを使用する割合がデスクトップコンピュータを上回っていることから、モバイルセキュリティが喫緊の課題になっています。
CrowdStrike のレポートでは、今年これまでに観測された主要なタイプのマルウェアについて概要を説明し、攻撃者が主に使用する展開の仕組みについて分析しています。さらに、モバイルデバイスを標的にする攻撃者グループと、グループには所属していない犯罪者を特定してその手口を明らかにするとともに、全体的なモバイル脅威動向がどのように変化しつつあるかを解説しています。また、モバイル脅威に対して組織のセキュリティを強化する際に役立つ重要な推奨事項もまとめられています。
レポートの主要ポイント
このレポートで明らかになった重要な事実は、次のとおりです。
・さまざまな犯罪グループおよび標的型攻撃者グループが、モバイルプラットフォームに対する攻撃を強めている。
・依然としてバンキングサービスが主な標的になっているが、その背景には、モバイル向けの「マルウェア アズ ア サービス( malware-as-a-service )」サブスクリプションモデルを運営する地下組織の存在がある。
・標的型攻撃者グループは継続的にモバイルマルウェアの亜種を開発しており、高い開発スキルを持っていないグループにもその開発機能が拡散している。
・最も多く観測されているのは Android オペレーティングシステム向けに設計されたモバイルマルウェアで、その要因として、Android OS ではサードパーティソースから新しいアプリケーションを簡単にインストールできることが考えられる。
・モバイルセキュリティの成熟度は従来のプラットフォームに後れを取っているため、感染したモバイルデバイスに攻撃者が長期間潜在することになる。
さまざまな形態のモバイルマルウェア
従来のデスクトップコンピューティングプラットフォーム向けに開発されたマルウェアファミリーと同様に、モバイルマルウェアには、それを開発・展開する犯罪者の能力と動機に応じてさまざまな形態が見られます。国家と結び付きがあるグループの場合は、標的に関する機密情報を長期にわたり収集するためにデバイスに長期間潜在することを目的とする一方、犯罪者グループの場合は、簡単に金銭を得る近道として、バンキングサービスで使用される認証情報の傍受に力を入れる傾向にあります。一方、高度な技能を持たない犯罪者グループの場合は、ランサムウェアやクリプトマイニングのように収益源となる既存モデルの再利用を試みますが、限られた成果しか得られないことがほとんどです。
これまでにさまざまなモバイルマルウェアファミリーが観測されていますが、レポートではその大半を 5 つの主要なタイプに分類し、タイプごとに詳しく説明しています。また、レポートでは、さまざまな攻撃者の背後にある動機、すなわち金銭的利益の獲得、機密情報の収集、サービスの中断についても取り上げているほか、攻撃者が関与しているクラスに応じて、そのツールと目的の分析も行っています。
モバイルセキュリティを強化するための推奨事項
レポートでは、組織は職場でのモバイルデバイスの普及に取り組むだけでなく、これらのデバイスには大量の企業データが保存されている可能性があるという事実と向き合う必要があることを強調しています。国家支援を受けるグループやサイバー犯罪者グループが、組織のセキュリティ対策を回避するためにモバイル攻撃を採用し、手口を巧妙化させていることから、モバイル脅威は今後ますます増加するものと思われます。CrowdStrike では、すべての組織に対して、企業の機密データに日常的に接続するモバイルデバイスの保護を強化する対策を取ることをお勧めしています。推奨事項の概要を以下に示します。
1. 公式アプリストアのような、信頼できるソースのアプリケーションのみをダウンロードする: 多くの場合、モバイルマルウェアは、自分達で提供しているアプリケーションに対して包括的なチェックを実施していないサードパーティソースから配信されます。
2. フィッシングメッセージに注意する: SMS やメールで、信頼できないソースから提供されているアプリケーションのインストールを促すメッセージを受け取った場合は要注意です。これは、攻撃者グループが被害者にモバイルマルウェアをインストールさせる一般的な手口となっています。
3. モバイル OS とインストールしているアプリケーションに対してセキュリティパッチを定期的に適用する:悪意のある攻撃者は、OS ソフトウェアの脆弱性を悪用してモバイルマルウェアをインストールし、操作権限を昇格させてデバイスで多くのデータと機能にアクセスできるようにします。
4. 確固としたモバイルデバイス管理( MDM )プロセスを中心にセキュリティを確立する:企業のモバイルデバイス管理では、インストールできるアプリケーションを制限し、セキュリティパッチの自動展開を許可することで、モバイルマルウェアに対する保護を可能にします。ただし、独自の MDM サーバーを利用してマルウェアを展開する能力がある攻撃者にとっては、この機能が攻撃に有利な条件となる可能性もあります。
5. モバイル向け EDR(エンドポイントでの検知と対応)ソリューションを検討する: たとえば CrowdStrike Falcon for Mobile ( TM )などのソリューションでは、モバイルセキュリティに可視性を最優先に行うアプローチを採用することで、不正侵入につながる脆弱性を解消します。セキュリティチームは Android や iOS エンタープライズアプリで生成されたアクティビティを確認して、アプリの挙動を把握すると同時に、脅威ハンティングを有効にしてインシデント調査を迅速に実行できます。 Falcon for Mobile の詳細についてはこちらを参照してください。
6. 物理デバイスの物理的セキュリティ対策を維持する:モバイルデバイスを放置しないように注意するとともに、強力なパスワードや、指紋認証、顔認証といった生体認証を有効にします。これによって、いわゆる「悪意あるメイド」攻撃で悪意のある攻撃者によってマルウェアが手動でインストールされるリスクを軽減できます。
その他のリソース
・CrowdStrikeのレポート『Mobile Threat Landscape Report:A Comprehensive Review of 2019 Mobile Malware Trends(モバイル脅威動向レポート:2019年のモバイルマルウェアの傾向についての包括的レビュー)』はこちらからダウンロードできます。
・WebページにアクセスしてFalcon for Mobileの詳細を確認ください。
・ブログ『CrowdStrike Is the First to Bring Endpoint Detection and Response (EDR) to Mobile Devices(CrowdStrike、業界初のモバイルデバイス向けEDR(エンドポイントでの検知および対応)ソリューションを発表)』をご覧ください。
・CrowdStrike次世代AVを実際にお試しいただけます。Falcon Preventの無料トライアル版を今すぐお試しください。
*原文はCrowdStrike Blog サイト掲載 :https://www.crowdstrike.com/blog/mobile-threat-report-2019-trends-and-recommendations/
ソース・関連リンク
関連記事
Scan PREMIUM 会員限定記事
もっと見る-
研修・セミナー・カンファレンス
楽天ウォレット CIO が語る暗号資産保護のポイント
暗号資産の流出事件の原因や、その対策ポイントについて、楽天ウォレット CIO 執行役員 佐々木康宏氏が「Security Days Fall 2021」で語った。
-
政府がセキュリティ事故当事者に課す報告期限の最短記録 インドで更新
インドの CERT-Inは国内の多くの IT企業に対して、ランサムウェア攻撃やソーシャルメディアアカウントの漏洩など、20 種類の情報セキリュティインシデントを検出後 6 時間以内に報告するよう義務付ける新たな規則の遵守を、喫緊の重大な課題として課した。
-
世界最大の歯科医師会もセキュリティは頭痛のタネ ~ ランサムウェアの脅威と Gmail の問い合わせ先
犯罪組織「Black Basta(ブラック バスタ)」は、米国歯科医師会にランサムウェアを感染させたと表明している。
-
強力な事故調査権限と影響力を持つ NTSB(米国家運輸安全委員会)のサイバー版を作る議論
サイバー攻撃の調査に国家が介入するより、民間企業や専門家が担当するほうが民主的であり何倍もマシであることは確かかもしれない。しかし、インシデントの調査委員は「第三者委員」と言われてはいるものの、当事者による人選で委託されるケースは多い。
カテゴリ別新着記事
脆弱性と脅威 記事一覧へ

EC-CUBE 用プラグイン「簡単ブログ for EC-CUBE4」にクロスサイトリクエストフォージェリの脆弱性

サイボウズ Garoon に複数の脆弱性

マイクロソフトが5月のセキュリティ情報公開、Windows LSA のなりすましの脆弱性は悪用の事実を確認済み

Intel製品に複数の脆弱性

さくらインターネットを騙るフィッシングメールに注意喚起

Microsoft Windows においてコールバック関数による Window オブジェクトの型検証不備により権限昇格が可能となる脆弱性(Scan Tech Report)
インシデント・事故 記事一覧へ

国産パブリッククラウド「ニフクラ」に不正アクセス、公表されたロードバランサーの脆弱性を悪用

PayPayカードで指定信用情報機関への信用情報を誤登録、与信判断に影響

京都で不動産業を行う長栄のサーバに不正アクセス、現時点で顧客関連情報の流出は確認されず

「MACHATT ONLINE STORE」に不正アクセス、16,093名のカード情報が漏えい

二重チェックでも気付けず、会員専用サイト「レジナビ」内のメッセージに個人情報含むCSVファイル添付

アート専門EC「TRiCERA.NET」のFacebookアカウント連携で7名の顧客情報が閲覧可能に
調査・レポート・白書 記事一覧へ

産業化するランサムウェア ~ 被害インパクトは攻撃者のスキル高低と関係がない

OSSのセキュリティ確保事例、トヨタやソニー、デンソー、サイボウズ、ヤフー他

CrowdStrike 、Dockerを標的にしたクリプトマイニングオペレーション「LemonDuck」を解説

トレンドマイクロ「国内標的型攻撃分析レポート2022年版」公開、4つのグループの特徴を整理

97%の組織が「Kubernetes」のセキュリティに懸念、VMware調査

米国はじめ5ヶ国のサイバーセキュリティ当局、攻撃者が悪用する脆弱性トップ15を公表
研修・セミナー・カンファレンス 記事一覧へ

実践的サイバー防御演習「CYDER」の2022年度の申込み受付を開始

楽天ウォレット CIO が語る暗号資産保護のポイント

GMOサイバーセキュリティ byイエラエ、CODE BLUE 2022のトップスポンサーに

2022年度の「実践サイバー演習 RPCI」の受付開始

強力な事故調査権限と影響力を持つ NTSB(米国家運輸安全委員会)のサイバー版を作る議論
