佐藤氏:アプローチは3つあります。ひとつはDMARC対応。DMARCはなりすましメールの検出には有効な手段といえます。DMARCのレポートを可視化するソリューションやレコードを最適化するツールも用意しています。長年メールセキュリティを専門にやってきた会社ですので、メールに関するノウハウ、サンプル数、ISPとの情報共有など、なりすましやメール保護に一日の長があります。DMARCについては、古くから普及活動にかかわっており、DMARCのスペシャリストもいます。2つ目はなりすましメールの検出精度です。膨大なメールサンプルによる弊社のレピュテーション精度、識別精度は高いものだと思っています。プルーフポイントは、スパムメールが出だして対策がはじまった頃からメールのセキュリティに取り組んできました。独自のなりすましメール識別のアルゴリズムを持っています。3つ目はMTAのチューニングです。いくつかのベストプラクティスからMTAのポリシー設定を効率よく強化することは、BEC対策につながります。――昨年の航空会社のような事例はこれらのソリューションで防げたものですか?佐藤氏:状況やメールの詳細がわからないため防げたと断言はできません。しかし充分可能性はあったと思います。――DMARCを策定した団体であるDMARC.orgで副議長を務めたアデニケ・コスグローブさんの3月8日(木)15時10分からのセッション「BECの最新の攻撃手法と対策のベストプラクティス メール認証技術DMARC導入とその最適化」はどなたに向けた内容になりそうですか。佐藤氏:何よりBECの被害に遭った人ですね。そしてDMARCを名前だけは知っていて、どんなものか、どう役立つのかを知りたい人です。なりすましメールにはDMARCは有効なんですが、まだ認知度や普及度は高くありません。これを改善したいという想いもあります。――やはり日本ではDMARCの普及度は低いのでしょうか。佐藤氏:北米では国土安全保障省(DHS)が企業や政府機関に対してDMARC導入プランを発表し、政府機関が採用必須となり、グローバルではとても関心が高いですね。一方で日本はまだまだこれからです。――最後にメッセージがあればお願いします。佐藤氏:BECのようなリテラシーに依存するソーシャルエンジニアリング攻撃は、一般に技術的対策は難しいとされますが、BECに対してはまだできる対策はあり、費用対効果の高い対策であるDMARCもその一例です。また、BECの攻撃予兆や手法のバリエーションなどにもふれる予定で、これらは知っておくだけでも予防対策として効果が期待できます。是非おこし下さい。――ありがとうございました。